第6章 【世にも淫猥な御伽草子】桃太郎ver.
「幸〜可愛いなぁ、スッポンポンだな!」
「仕方ないでしょう、産まれたばっかだぞ?!」
「幸村…桃から出てきて、何か良い事があるのか?」
「謙信様、桃太郎のお話、理解してます?」
信玄おじいさんと謙信おばあさんは、桃から出てきた男の子が大変気に入り、幸村桃太郎と名付けて、青年になるまで育てました。
そして、幸村桃太郎が良い年頃になると…
浮いた話を持ち出すのが、信玄おじいさんです。
「幸村桃太郎、知ってるか?鬼ヶ島にいる美依鬼は、天女のように愛らしい女の子らしい」
「天女って…鬼なんですよね?まぁ、気にならない事も無いですが…」
「ほう、幸村も女に目覚めたか。赤飯を炊くか?」
「謙信おばあさん、赤飯なんて炊いたことないでしょ」
「賊を斬り捨て、飯を血で染めれば良い」
「馬鹿ですよね、あんた(ずばん)」
幸村桃太郎がジト目でおばあさんを見ていると、早速謙信おばあさんは赤飯を炊き始めます(意味は察してくれ←)
そんな謙信おばあさんを尻目に、信玄おじいさんはまきびし入りのきびだんごを幸村桃太郎に渡しながら言いました。
「このきびだんごを持って、鬼ヶ島の美依鬼を口説いてこい。きびだんごは、この近くに住む獣人佐助にあげるんだ。きっと力になってくれる」
「獣人佐助?」
「ああ、人間と猿と犬とキジが合わさっているからな」
「……春日山サイド、人数足らねーのか(ぼそっ)」
幸村、裏事情を話すのはやめろ←
作者が苦肉の策で捻り出した案だ(ええ、本当に)
「幸、お前も男になって来い。噂に寄ると、美依鬼を狙ってるヤローはいっぱいいるらしいぞ?」
「俺、女とか興味ねぇし」
「興味無いとか言わない!さぁ、行ってこい、血染めの赤飯が出来上がる前にな!」
憐れ、幸村桃太郎。
信玄おじいさんに、家を追い出されてしまいました。
しかし…
鬼ヶ島の美依姫とは、一体どのような女なのか。
気になった幸村桃太郎は、とりあえず出発することにしました。
もちろん、まきびし入りきびだんごがあるので、信玄おじいさんの言う通り、獣人佐助を訪ねます。
獣人佐助は、近くの小屋に住んでおりました。
普段は無表情ですが、まきびし入りきびだんごを渡すと、片眉がピクリと動きました。