第5章 【世にも淫猥な御伽草子】白雪姫ver.
────しかし、残念←
やっぱり白雪美依姫は目を覚ます様子はありません。
これには、全員がっかり撃沈。
「なんだよ、目ぇ覚まさねーじゃねぇか!」
「王子でも駄目とは……これは一体」
「美依には想いが届かなかったってこと?」
「……あの、少し宜しいでしょうか」
その時、三成が何か思い立ったように、美依姫の棺の側に寄りました。
「姫は林檎を食べて亡くなったですよね?」
「そうだな」
「つまり、林檎を喉に詰まらせた可能性があります。だから、こうやって……」
三成は美依姫の上半身を起こすと、背中を強くドンドンっ!と叩きました。
すると、美依姫の口が少し開き。
そこから、林檎の破片と思われるものが、こぼれ落ちました。
そして──……
「んー……?」
なんと!
白雪美依姫が、目を覚ましたではないか!
え、美依さん、ひょっとして……
ただ単に、林檎を喉に詰まらせただけ?(白目)
「あれ、私……」
「美依様、生き返ったのですね!」
「三成君が生き返らせてくれたの?」
「え…ええ、まあ……」
「おい、これはまずいのではないか?」
姫と三成の会話を聞き、光秀が声を上げました。
だが、時すでに遅し。
美依姫は、ぽっと頬を染め……
潤んだ可愛らしい瞳で三成を見つめたのです。
「ありがとう、三成君。私の想い人は三成君だったんだね。私、三成君がだいすき……!」
────…………(一同沈黙)
「でぇえええ──っっ!!」
「……っ、美依様〜〜〜!!」
「馬鹿、三成!ここで発情すんな!!」
「え、なにこれ、これでハッピーエンド?」
「断じて認めん!美依、貴様は俺のものだ!」
「三成、あざとい奴だ……!」
「やれやれ、とんだ茶番だな。何も変わらんだろうに」
────抜けるように青い空
そこに、姫の笑い声と、小人達や王子の悲痛な悲鳴が響く。
結局……美依さんはみんなのお姫様だから。
誰のものでもない、みんなのもので、ずっと居て。
君の笑顔を独り占めするのは、本編だけで十分だ(笑)