第5章 【世にも淫猥な御伽草子】白雪姫ver.
「俺は幸村だ。信玄様に無理やり連れて来られたが、小人の家はここかよ?」
小人達は、その風貌を見て、それが手紙に書いてある王子だと一発で解りました。
だって……ねぇ。
「幸村……白タイツかよ……!」
「か、かぼちゃパンツに白タイツ…ぶぷっ」
「う、うるせー!衣装がこれだったんだ、仕方ねぇだろ!」
「あー似合う似合う。似合うからどっか行って」
「家康……お前相変わらず辛辣だよな」
そんな会話をしつつも、小人達は幸村王子に敵対心メラメラです。
だって王子が姫を救うと言うのが、鉄板中の鉄板だからだ。
こんな白タイツの男に負けてたまるか……!
小人達も下剋上を起こそうと、闘志を燃やします。
でも、生き返らすってどうやるんだ?
王子と小人達で言い合いが始まりました。
「しかし、八人とは敵が多いな」
「信長様、この際飲み比べ合戦でもして、敵を減らしましょう」
「おい、光秀!初っ端なら俺を潰して、挑戦すらさせねぇ気だろ!」
「お前、下戸だからなぁ…政宗。やっぱり生き返らすなら、人口呼吸か」
「秀吉様、私にお任せ下さい!やり方は解ります!」
「三成…お前、本当にあざといな、こーゆー時」
「家康、お前も密かにやりたいと思っているだろう、今」
あーでもない、こーでもない。
色々な案が飛び交いましたが、結局決め手となる案が浮かびません。
その時だった。
幸村王子の放った言葉で、全員が納得するのです。
「やっぱり、愛する者の想いのこもった口づけってやつで、生き返るんじゃないか?どっかにそんなよーな事、書いてあった。唇から想いが伝わって、心臓を動かすとか…やってみる価値はあると思う」
小人達はその言葉に、深く頷き……
一度、美依姫の亡骸を、硝子の棺に入れ、花が咲き乱れる庭へと運びました。
そして、皆が見守る中……
それぞれが胸の中の想いを、白雪美依姫に伝えていくのです。
……やっと甘い台詞が聞けそうだな(ほっ)
いわゆるこれは、愛の告白。
美依さんの心に届くのは、どんな言葉なのだろう。
それを読者の君が、しっかり見極めて欲しい。