第37章 〖誕生記念〗焦れる想いを濃紺の冬空に咲かせて / 徳川家康
「私、家康がいない間、すごく身体が火照って、自分がいやらしい女だって思ったの。あの日も、少しでも触れられたら…"私が"止まれなくなるって確信してた。そんな恥ずかしい自分、家康に見せたくなかった」
「っ……」
「なのに、家康に責任転嫁してたんだよ…止まれなくなるのは家康じゃなく私の方。本当は触れてほしかった、家康を感じたかった。こんな女で…ごめんなさい。ほんと、好きだよ…家康のこと」
(ああ…本当に、なんなのこの子)
愛しさで胸が苦しくなる。
離れている間、俺が焦がれたように……
きっと美依も、俺を想ってくれていたのだ。
いやらしい女だっていいじゃないか。
純粋に俺を求めて、身体を火照らせて。
本当に…馬鹿みたいに可愛い。
きっと頬が染まっているのは、花火の明るさのせいなんかじゃない。
美依も───………
きっと花火に負けないくらいの熱情を抱えている。
「……美依」
「んっ……!」
俺は美依の頬に手を当て、その唇を塞いだ。
すぐさま舌を絡めれば、美依も一生懸命応えてきて……
久しぶりに味わう美依の味に、頭がくらくらする。
そして、それが合図かのように瞬時に身体が高ぶった。
……頭の線、一本切れたかも。
そんな感覚すら覚え、俺は頬に当てた手とは逆の手を美依の身体に這わせる。
柔い感触は理性すら吹き飛ばし、我慢の限界も一気に境界線を越えた。
早く、早くこの子に触れたい。
この渇望を満たしてほしい。
深く貪るだけ貪って唇を離せば、間に透明な糸が引き……
その先にある愛しい者の顔は、とろりと蕩けて艶っぽくなっていた。
「本当に…ばかだね」
「家康……」
「別に責任転嫁になってないでしょ。本音はどうであれ、あの日は拒んで正解」
「うっ……」
「……ねぇ、もう体調はいいの?」
「えっ…も、もう大丈夫、だよ……」
(すごい期待した目、してる。可愛い)
ふわふわと浮かされた表情でも、その瞳はしっかり意思がある。
きっと、美依も限界を突破してるんだ。
触れている身体が熱い、今は冬で夜なのに。
まるで焼け焦げそうな程───………
灼熱の激情がお互いを支配している。