第37章 〖誕生記念〗焦れる想いを濃紺の冬空に咲かせて / 徳川家康
(……このままの状態で駄目とか、本当に辛すぎるんだけど)
ずっと、ずっと我慢していた。
ひと月の間、美依と離れていて。
触れたくても、触れられない状況に、ずっと心は焦れていた。
やっと、今日帰って来れて。
ようやく美依に触れられると思ったのに…
肝心の美依は月のモノの最中。
なんだこれ、どれだけ時機が合わないの。
自分の中での『美依不足』は、もはや頂点に達している。
すぐにでも補充しないと、色々支障をきたす。
もはや、そのくらいの境地になっているのだ。
────この状態が本当にしんどい
少しくらい、触れても構わないだろう?
「……っ家康?!」
俺が構わずその太ももを着物越しに撫で上げると、美依はびっくりしたように目を瞠った。
大丈夫、最後まではしない。
挿入さえしなければ…そう思いながら、また美依の首筋に顔を埋める。
「ちょっとだけ……ね?」
「だめだよ、絶対止まれなくなるでしょ?!」
「挿入はしないから、少し触れるだけ」
「……っ、だめっ!」
またしても肩を掴まれ引き剥がされて、俺は思わずムッとなって美依を見下ろした。
何でそんなに強く『駄目』と言うのだ。
少し触れるだけと言っているだろう?
俺だって子供ではない、体調悪い身体に無理やり"する"ような事は絶対にしない。
俺は若干苛立ちながら…
美依に再度自分の気持ちを説明する。
「最後まではしないから。もうあんたに触れないと、俺がどうにかなりそう。ひと月も離れてたんだから」
「それは解るよ、私だって家康に触れたかった。でも…中途半端に触れたら余計辛いし、止まれなくなるから!」
「今でも十分辛い、あんたを堪能したいんだ」
「だから月のモノが終わるまで待って?もう数日で終わるから…そしたら思いっきり愛してほしいよ」
「…っだから、数日も待てないんだよ…!」
(美依は解ってない)
どれだけ、今の俺が切羽詰まっているか。
少しだけ、少しだけでいい。
美依の温かな身体で満たしてくれたら…
その『数日』もなんとか乗り切れる。
それに、止まれなくなるなんて事はない。
そのくらいの自制は、俺にだって効くのだから。