第4章 【世にも淫猥な御伽草子】赤ずきんver.
「家の中で、一体何をやっているんだ……?」
猟師光秀は窓に近づき、中の様子を伺った。
そして目に映った光景に、思わず目を見開く。
なんと小さなベッドの上で、オオカミと赤ずきんが交わっているではないか。
しかも──……
「ぁあぁんっ…!やっ…まさ、むねぇ……!」
「はぁっ…ぁあっ、も、出るっ……!」
絶頂間近。
オオカミが赤ずきんに覆いかぶさり、腰を鋭く振って…
声を聞く限り、もうすぐ二人は果てるだろう。
そんな色濃い空気が、部屋中に漂っていた。
そんな光景を見て、黙っている猟師光秀ではない。
意地悪心が、むくむくと顔を出し…
良からぬ事を考えて、ニヤリと笑った。
「これはこれは…面白い。しかもあの小娘は、秀吉が手塩にかけていた赤ずきんではないか。それをオオカミがなぁ…」
実は、この猟師光秀。
秀吉お母さんの知り合いで、前々からこの愛らしい娘を狙っていたのだった。
そして、今でこそオオカミに心奪われてしまったが、赤ずきんの『元想い人』。
それを知っていたので、いつか秀吉の元から奪ってやろうと企んでいた。
なのに、オオカミに先を越され……
それは正直面白くないが、この機を逃すほど、この男も馬鹿ではない。
光秀はそのままドアに向かい…
無遠慮に、そのドアを思いっきり開けた。
「邪魔をするぞ、二人とも」
「……っっ!」
猟師光秀の登場に、政宗と美依、二人して驚いた。
特に政宗オオカミは、今まさに頂点に登ろうとしていた所。
あと一歩で吐精出来たのに、それを寸での所で邪魔されてしまい……
荒く息を吐きながら、でも赤ずきん美依の中からは抜かず、首だけ猟師の方に向いて悪態をついた。
「邪魔すんな!あと一歩で吐き出せたんだぞ?!」
「随分気持ちイイことしてるじゃないか、二人共。外まで丸聞こえだったぞ?」
「猟師の光秀さん……?」
「赤ずきん、そのような獣に喰われて可哀想に。俺が慰めてやろう…おいで」
すると、猟師光秀はベッドに近づき、美依に覆いかぶさっている政宗オオカミをどんっ!と突き飛ばした。
『痛てぇ!』と悲鳴をあげる政宗オオカミを尻目に、赤ずきん美依を起こし、その胸に抱き締め……
慰めるように頭を優しく撫でた。