第36章 【戦国Xmas2020】明智光秀編
「光秀さんに、私を贈ります…もらってください」
私も抱き締める腕に力を込めて、光秀さんに答えた。
貴方が喜ぶことを、私もしたい。
貴方が私を喜ばそうと、サンタクロースになったみたいに…
せめて、たっぷりの愛を込めて。
私も…貴方の欲しいものをあげたい。
すると、光秀さんは私の頬に手を当てて、少しだけ上を向かせた。
そのまま視線が絡み合い、瞬間ドキリと心臓が高鳴る。
その黄金色の瞳は少しだけ熱を帯び…
いつもより色濃くなっているように見えたからだ。
光秀さんはそのままゆっくり言葉を紡ぐ。
愛おしげに、低く心に響くような甘い声で。
「自分でも呆れてしまうのだが、この"ほよの木"で想いを交わした時から…いつでもお前が欲しくて欲しくて仕方ない」
「光秀さん……」
「だから、今宵もお前を蕩かして…俺のものにする」
「っ……」
「めりーくりすますだ、美依」
(────私だけの、愛しいサンタさんだ)
子供の頃には信じていたサンタクロース。
いつしか私は夢を見なくなり…
それは大人が作った夢物語なのだと、つまらない人間になっていたのかもしれない。
でも…今私の目の前には、確かにいる。
たくさんの愛情を持って、私を喜ばせてくれる、赤い服を着たサンタさんが。
そのサンタさんは、私に『寂しさを埋める方法』を与えてくれ、『未来の約束』までくれた。
こんなに嬉しい贈り物はない。
私は今──……死ぬほど幸せだ。
「美依……」
「ん……」
そして、唇が重なった。
それは瞬時に深くなり…
唇から温もりと愛情を注がれ、息が出来ないほどに胸がいっぱいだ。
宿り木の下で口づけると、永遠に結ばれると…
それはクリスマスが生んだ逸話かもしれないけれど。
私はそれを信じたい。
こうして似合わない赤い着物を着たサンタさんが運んできてくれた、愛しい幸せ。
それを永遠に守っていきたいと───………
儚い粉雪が降り積もる中、口づけに溺れながら、そう思った。
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