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【イケメン戦国】零れる泡沫*恋奏絵巻*《企画集》

第36章 【戦国Xmas2020】明智光秀編





「どうした、そのようにまじまじと見て」

「いえ、珍しい色の着物を着ているなぁって…昼間は普通でしたよね?」

「ああ、"さんたくろーす"だからな」

「え?」

「"さんたくろーす"は赤い着物を着ているのだろう?昨年お前はそう説明したと思ったが、違ったか」




それを聞いて、私は目を輝かせる。
確かに去年、クリスマスの説明をした時に『サンタクロースは赤い服を着ている』と話したような。
それを覚えていたの?
まさか、クリスマスだからサンタクロースになったつもりで…


(光秀さんって案外お茶目な人なんだ)


それを思ったら、思わず笑ってしまった。
口元を押さえて、くすくす笑っていると…
光秀さんは私の額を指で軽く小突き、顔を覗き込んでまた笑みを深くした。




「なんだ、さんたくろーすがそんなに可笑しいか?」

「いえ、光秀さんってお茶目なんだなぁって思ったらつい、ふふっ。ごめんなさい」

「お前が喜んだならいい、そのために着てきたのだからな」

「でも…光秀さん、赤い着物はあまり似合いませんね?」

「言うな、女中からも散々言われたからな」




(私を喜ばすのに、サンタさんになってくれたんだ…優しいなぁ)

思わず、胸がきゅんと疼く。
光秀さんの優しさが嬉しくて…
覗き込んだ顔に笑みを向けたら、光秀さんも優しく目を細めた。

そして、光秀さんも私の格好を眺め、女としては気づいてほしい事に当然のように気づいてくれる。




「お前も随分綺麗に身支度を整えたようだ」

「は、はい」

「その化粧も髪型も簪も…似合っていて可愛らしいぞ」

「ありがとう、ございます……」




意地悪でもなんでもない直球の褒め言葉に、また胸が熱くなった。
意地悪な光秀さんも好きだけど…こうしてストレートに優しい光秀さんも大好きだ。

結局、どんな光秀さんでも好きなのだと思う。
別に赤い着物があまり似合っていなくても、私を喜ばそうとした、そんな光秀さんを愛しく思う。




「それでは、行くか」

「はい…っ」




差し出された手を当然のように握り返し。
私達はそのまま夜の逢瀬に出かけた。
もちろん、もらった花柄の襟巻きを持って…

クリスマスイブに宿り木の下に行くという、なんともロマンチックな逢瀬の始まりだ。







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