第36章 【戦国Xmas2020】明智光秀編
『明日の夜、お前が来るのを待っている』
二十四日の夜、光秀さんにそう言われて…
そのまま去ってしまった光秀さんを私は追いかけ『一緒に行きたいのは光秀さんです』と伝えたのだ。
その時、秀吉さんにも同じように誘われていて。
でも、秀吉さんには申し訳ないと思ったけど…でも私が好きなのは光秀さんだったから。
(まさか、光秀さんも私を好きだったなんて)
思い出すだけで、心がきゅんとなる。
粉雪の降る中、一緒に宿り木まで行って…
『好きだ』と言われ、私も想いを伝えた。
恥ずかしいけど、私にとっても忘れられない日だ。
そして、この襟巻きも。
光秀さんがクリスマスプレゼントとして買ってくれた。
それからずっとこれを愛用してたけれど…
光秀さんも『クリスマスイブ』を覚えていてくれたのは嬉しいな。
思わず光秀さんを見つめると、光秀さんはふっとその琥珀色の瞳を細め、そして…
「っ……」
そのまま額に口づけられ、頬が熱くなった。
小さい水音を残して離れると、その甘さを含んだ視線と絡み合う。
そのまま近くで光秀さんは私を見つめながら…
『とっておきのクリスマス』を提案してくれた。
「今夜、あの"ほよの木"に行くか」
「えっ…」
「せっかくの"くりすますいぶ"だろう、お前と逢瀬がしたい」
「わ、私もしたいです…!」
「決まりだな、楽しみにしている」
(イブに逢瀬なんて、素敵すぎる……っ!)
逢瀬の約束をし、私はそのまま光秀さんに見送られて御殿を後にした。
首にはしっかり、花柄の襟巻きを巻いて。
今日も雪が降りそうなくらい寒い日なのに…
光秀さんのおかげで、こころはポカポカあったかかった。
光秀さんは意地悪で、本心が掴めなくて。
でも恋仲になってから、光秀さんは前よりも本音で私に接してくれるようになった。
本当は優しく情熱的な人なのだと…
そんな姿を知れば知るほど、私は光秀さんを好きになった。
……二人きりの時は、すごく甘やかしてくれるし。
それを思うと、恥ずかしいくらいに火照ってしまう。
私は光秀さんに、心も身体も囚われてしまった。
それは、とても嬉しい事で……
────今、これ以上ないくらい幸せだ