• テキストサイズ

【イケメン戦国】零れる泡沫*恋奏絵巻*《企画集》

第35章 【戦国Xmas2020】武田信玄編






*****




「顕如さん…喜んでくれたかな」




美依と一緒に帰途につく。
馬を休ませている場所まで手を繋いで歩いていると、美依がぽつりとそう言った。

隣を見下ろしてみれば、微かに笑ってるのが解る。
俺はその握っている手に力を込め…
そして、口元に笑みを浮かべながら、その問いに答えてやった。




「あれは内心、ものすごく喜んでたぞー?」

「ならいいんですが…」

「あの男はなかなか表情に出ないからな、まあ俺くらいになれば些細な変化も解るが」

「ふふっ、信玄様がそう言うなら間違いないですね」




(君がくれた幸せだ、喜ばないはずがない)

なんだかんだ顕如も美依を気に入っているようだし。
俺としても、寺を訪れるきっかけにもなった。
美依が『くりすます』の話をしてくれなかったら…それも実現しなかったからな。

まさに、聖夜に天女が運んできた贈り物だ。

『くりすます』は『さんたくろーす』が贈り物を持ってくると美依は説明してくれた。
俺達はその『さんたくろーす』に扮して、子供達に贈り物を届けに行ったけれど…

俺としては、どちらかと言うと──……




「……美依」

「はい?」




俺が立ち止まり、美依の方に向き直ると、美依も足を止めて俺の方を見た。
その瞬間に腰を抱き、ふわりと持ち上げる。
美依は驚くように目を丸くさせ…
少しだけ高くなった視線で、きょとんと見つめてきた。




「俺には"さんたくろーす"は来ないのか?」

「え?」

「俺もくりすますの贈り物が欲しい。出来れば…」

「……?」

「────贈り物には…君が欲しいんだが」




その瞬間、美依の頬がぽっと染まる。
その初々しい反応、本当に癖になるな。
別に、今初めて求めた訳でもないのに。

すると、美依は俺の肩に手を置き、ぎゅっと掴みながら、はにかんだ笑みを見せた。
そして、その可愛らしい唇が言葉を紡ぐ。

また俺を虜にさせる、魅惑の誘い文句を。






「美依サンタから信玄様に贈るものは、最初から一つしかないです。だから、私自身を…受け取ってくださいね?メリークリスマス、信玄様」







/ 555ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp