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【イケメン戦国】零れる泡沫*恋奏絵巻*《企画集》

第35章 【戦国Xmas2020】武田信玄編





「美依、一緒に"面白いくりすます"を祝おうか?」

「えっ…どういう事ですか?」

「耳を貸しなさい」




美依の小さな耳に唇を寄せ、その『面白い妙案』を吹き込んでやる。
すると、美依はきらきらと目を輝かせ…
二つ返事で了承し、可愛い笑顔になった。

これは、ますますこの『作戦』を成功させねば。
美依の笑顔のためにも、『あの男』のためにも。

それを思えば、心が湧き立つ感覚を覚えた。
そして、その日から美依と楽しみながら準備を進め…

十二月二十四日の夜。
俺と美依は『くりすます大作戦』を決行する事になったのだった。












*****












「信玄に、お嬢さん…なんだ、こんな夜更けに」




美依曰く、『くりすますいぶ』の今宵。
俺と美依は甲斐の国の領地にある、ある小さな寺を訪れていた。

甲斐の国を織田と武田で共同統治するようになり。
敗れた顕如は、一旦は牢に入れられていたものの、今は甲斐の国にある寺を任されている。
そこには門徒はもちろん、身寄りのない小さな子供達も預けられていて…

俺達は顕如もそうだが、どちらかと言うとその子供達に用があり、訪れたのだ。




「そう険しい顔をするな、顕如。今日はくりすますいぶだぞー?」

「訳分からん事を言うな。二人して珍妙な格好で、何をしに来た」

「珍妙とは失礼な、美依のお手製だぞ」




眉間に皺を寄せる顕如に、今日ここを訪れた理由を説明してやる。
美依が話した『くりすます』の話と、子供達に『さんたくろーす』として贈り物を届けに来た事。

顕如が『珍妙な格好』と言うのは、見た目も『さんたくろーす』になりきってきたからだ。
美依が赤い生地を使い、二人分のさんたくろーすの衣装を縫い上げた。
格好にもこだわりましょうと言ったのは美依だから。

もちろん、俺も出来上がった衣装を見た時は驚いたが、それが『さんたくろーす』の服だと言われれば信じるしかない。

そんな訳で、南蛮風の衣装に身を包んで『さんたくろーす』になった俺達は、それらしく贈り物を枕元に置きに来たという訳だ。






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