第34章 〖誕生記念〗長い一日の終わりに温もりを寄せて / 石田三成
「そ、そんな事で嫌うわけないよ…っ」
「はい、だから良かったです」
「今日一日会えなかったのはごめんね、私も寂しかったよ」
「美依様……」
「お誕生日本当におめでとう、三成君」
(ああ…とても嬉しいな)
思わず笑みを零すと、美依様も笑ってくれる。
自分の誕生日って気づけなかった己が情けないけれど…
こうして、生まれた日を喜んでくれる人達がいる。
それがとても嬉しくて、幸せで。
本当に…私はなんて果報者なのだろう。
「────ありがとうございます」
その礼の言葉は、この場にいる全員に。
優しい人々に囲まれて、私には勿体ないくらいだ。
すると、慶次殿が『よし、宴始めようぜ!』と楽しげに声を上げた。
そのまま美依様に手を引っ張られ、広間の上座へと連れていかれて。
見れば、すごい豪華な料理が並べられている。
政宗様が作ったのか、酒も沢山並んでいるのは光秀様が用意をしたのか。
そのおかげで、すっかり気分は上がる。
さっきまで落ち込んでいたのが、嘘みたいに。
「それじゃ、改めて……
三成、誕生日おめでとう!乾杯!!」
────本当に、満たされている
そのまま始まった宴は、それは盛大だった。
美味しい料理と、お酒と。
それで心と腹も満たされ…
旅芸人の一座まで呼ばれて、飲んで歌って踊って。
本当に楽しいひと時だった。
美依様は私の隣を片時も離れず、酌をしたり、笑いかけてくれたり…
それだけで、私は胸がいっぱいになる程幸せだった。
今日貴女に会えなくて、寂しくて。
本当に、避けられているのではないかと。
そう思ったら、沈むのを抑えられなかった。
でも───………
それはちょっとした"試練"だったのかな。
試練なんて言ったら大袈裟かもしれないけど。
(私にとっては、今日は長い一日でしたよ?)
私の日々は貴女の笑顔と共にある。
貴女が傍にいなければ辛い。
貴女の笑顔が見られないのは…
太陽が登らないのと同じだから。
だから、傍に居て、
ずっと笑っていて。
貴女と一緒にいる喜びを──……
いつだって感じていたいのだ。