第34章 〖誕生記念〗長い一日の終わりに温もりを寄せて / 石田三成
────ふわっ、ぱさぱさっ……!
「三成、お誕生日おめでとう!!」
(え………?)
花吹雪が頭の上から舞う。
ひらりひらりと、鮮やかな紙の花が宙に舞って落ちて。
そして、目の前には武将様方。
優しい顔をした、信長様、政宗様、家康様、光秀様、蘭丸殿に、慶次殿に……
「三成君、おめでとう……っ!」
今日、私が会いたくて会いたくて
焦がれるほどに会いたかった───………
愛しい美依様のお姿。
『お誕生日おめでとう』
そして、そう言われてやっと気がつく。
今日、十一月六日は…
私が、この世に誕生した日。
己の誕生日だと言うことに。
「あ………」
「なんだ、三成。呆けてるぞ?」
「ま…誕生日って気づいてませんでしたから、三成の奴」
「そっか、私の誕生日……」
「どうやら、今の今まで気づかなかったようだな」
「おかげで準備しやすかったですよ、光秀さん」
武将様方が口々に言う中、美依様が可愛らしくふふっと笑う。
それを見ていたら、何だか堪らなくなって。
私はつかつかと歩き、美依様の傍に行くと思わずその小さな手をぎゅっと握った。
「三成君……?」
不思議そうに首を傾げる美依様。
やっと合点がいった。
今日美依様に会えなかったのは…
この宴の準備をしてくださっていたからなのですね?
私は小さく息を吐き…
美依様を見つめながら、ぽろりと本音を漏らした。
「今日一日貴女に会えなくて…寂しかったんです」
「あ、ごめんね。朝から準備してたから…」
「もしかしたら、避けられているのではないかと」
「え?」
「昨夜、貴女を求めすぎたから」
「なっ……」
私が言えば、美依様は頬を赤く染める。
それを見た慶次殿と政宗様が、盛大に吹き出して笑い声を上げた。
私は至極真面目だ、本気でそう思った。
昨夜求めすぎたから、嫌われてしまったかもしれないと。
すると、美依様は顔を真っ赤にしながら私の手を握り返してきて。
まるで言いにくそうに、小さな声で言った。