第34章 〖誕生記念〗長い一日の終わりに温もりを寄せて / 石田三成
────結局、あの方には会えぬまま
いつの間にか夜の宴の時間になってしまった
城の自分の部屋で晴れ着を着て、身支度を整えながら何度ついたか解らない溜め息をつく。
今日一日、美依様のお顔を見られていない。
その事が、自分的にも大打撃で…
すっかり意気消沈。
宴なんて楽しめる気分でもなく、私は落胆してしまっていた。
(すれ違うくらいしてもいいのに…何故)
本当の意味で、全く接点がない。
チラッと姿を拝見する、なんて事もなかった。
一体美依様は、昼間どこで何をしていたのか。
さっき政宗様と家康に会って…
二人は何か知っているような素振りだったのも、どこか気に食わない。
……もしかして、避けられているとか?
そんな考えに辿り着き、思わず心臓が嫌な音を立てる。
美依様に何かしてしまっただろうか。
昨夜、求めすぎたのが原因か?
だから、今朝起こしもせずに行ってしまったとか…
「……っ、早く謝らなくてはなりませんね」
身支度もそこそこに、私は部屋を出る。
そして、急いで広間に向かった。
宴はもう始まっているだろうか、美依様はそこにはいらっしゃいますよね?
若干焦りながら、足を進める。
ずかずかと大股で廊下を進んでいると…
向こうから秀吉様が来たのが見え、秀吉様は私の側に来ると目を見開いて私を見た。
「どうした、三成。怖い顔になってるぞ?」
「ああ、秀吉様。宴は始まりましたでしょうか、美依様はいらっしゃいますか?」
「宴はまだこれからだぞ。美依はもう広間に居るが…その怖い顔、どうした」
「私、美依様に謝らなくては」
「そうなのか?なら、一緒に広間に行くぞ。今日はお前が主役なんだからな、三成」
「え……?」
秀吉様の言葉に、目を丸くする。
私が主役とは…どういう事だ。
私が意味も解らずにいると、秀吉様は苦笑しながら『やっぱりなぁ』と呟いた。
疑問符が頭に浮かんだまま、私は秀吉様と一緒に広間に向かって。
何が何だか、さっぱり解らない。
特に武功を上げたとかではないし、特別に褒美を貰うような事もしていないし…
そんな風に思いながら、私は広間に到着し襖を開けた。
その、瞬間だった。