第33章 〖誕生記念〗彩愛-甘やかな嘘- / 明智光秀
「……!!」
俺の言葉に、美依はカッと顔を朱に染め、悔しそうに口を一文字に結んだ。
こんな風に、催促させる事自体が『お仕置き』か。
でも…たまには美依の口から聞いてみたい。
俺からばかり求めるのではなく…
お前から"抱いて欲しい"と。
そう願われてみたいと言うのは、わがままだろうか?
「…っもう、ほんと意地悪……!」
「!」
すると何を思ったか、美依は手首を縛られて輪になった腕を、俺の首に通してきた。
そして、そのまま引き寄せられ…
ちゅっ
音を立てて、唇が啄まれる。
美依からの口づけはこれが初めてで、突然の事に不意を突かれ、ぽかんと目を見開いた。
見れば、美依の泣きそうな顔。
そんな表情も、愛らしく…
思わず釘付けになっていれば、その今触れた唇が震えながら言葉を紡いだ。
「私は、誕生日の贈り物です。だから…貰ってください、光秀さん。私をあげるから、だからっ…たくさん、愛してください……っ」
(……っ、この小娘は本当に………)
美依には敵わないと知っていた。
いつでも、予想外の事をしでかすから。
行動も、言動も。
俺の遥か上を行くことも解っていた。
でも───………
こんなに掻き乱されたのは初めてだ。
酷く動揺した。
お前が可愛すぎて…
自分から言わせた事だと言うのに。
お前はまた…俺の想像を越えるから。
また、お前をめちゃくちゃにしてしまう。
愛し過ぎて…その愛した証をたくさん、
お前の中へと、残したくなる。
「美依…っ」
「あ……」
俺は首の後ろにある美依の手首から、器用に"りぼん"を引き抜いた。
そのまま、再度褥へと押し倒し…
腕の中に美依を閉じ込めて、見つめる。
美依は目を見開いて俺を見つめ返してきて…
きっと俺が酷く欲情している顔をしているから、驚いているのではないか?
「お仕置き、は…ここまでだな」
「光秀さん…」
「さぁ、ここからはどうやって愛そうか?また意地悪されて愛されたいか、それとも…深く甘やかされたいか?」
吐息が掛かるほど傍で、美依に問う。
すでに想いが堰を切って溢れる寸前だ。