第33章 〖誕生記念〗彩愛-甘やかな嘘- / 明智光秀
「言っただろう…?お前を立てなくするのは、夜に逢瀬から帰ってきてからだ、と」
「光秀さ、待っ……」
「────待てない」
「んっ……」
俺は美依の顎を掴み、振り向かせて、その唇を塞いだ。
今度は啄むなんて、甘いものじゃない。
美依の口の中の弱い所を刺激するように…
舌で奥までまさぐって、吐息すらも混ぜ合わせていく。
「んっ、んぅ…ぁ……」
次第に顔を蕩かせ始めた美依は、重なり合う隙間から微かに甘い息を漏らし…
角度を何度も変えて貪れば、もう立っていることなど出来ないように、俺にもたれかかってきた。
本当に甘い刺激に弱いな。
そう思いながら、縺(もつ)れるように、敷いてある褥に二人して崩れる。
美依の躰を褥に押し倒し、尚も口内を味わってから唇を離せば…
つーっといやらしく伝った銀糸の先に、とろとろに蕩けた美依の顔があった。
「口づけだけで、そのような顔をして…」
「光、秀、さん……」
「俺をここまで欲情させられるのは…お前だけだ、美依」
その濡れる瞳も、熱い吐息を漏らす唇も…
何もかもが煽情的で、煽る材料になる。
今日はどうやって愛してやろう。
ぐずぐずに蕩かし、泣く寸前まで意地悪に愛してやろうか。
それとも…たっぷりと甘やかすか?
そのどちらも捨て難くて、頭の中の思考回路が過敏に刺激されてしまう。
(ああ、そう言えば"お仕置き"もあったな)
朝のやり取りが、ふっと頭に浮かび…
美依が俺に嘘をついたことの、お咎めをしなくてはならないんだったと。
それを思ったら、意地悪心に火がついた。
たっぷり甘やかすのは、ちょっと置いておいて。
まずは…少しだけ、意地悪させてもらおうか?
美依を組み敷きながら目を泳がすと、今朝貰った贈り物の包み紙と紐が、畳の上に置かれているのが目に止まる。
少し幅広の、鮮やかな紐状の織物。
────これは、使えるな
俺はすぐさま手を伸ばし、その織物を手に取った。
綺麗な布だ、きっと美依にも映えるだろう。
そう思っていると…
美依は少し首を傾げ、不思議そうに瞬きをして俺を見上げてきた。