第33章 〖誕生記念〗彩愛-甘やかな嘘- / 明智光秀
『親愛なる光秀さんへ
お誕生日おめでとうございます。
贈り物があって、びっくりしましたか?
この文を貴方が読んでいると言う事は
私の作戦が成功した証拠ですね。
実は、貴方に嘘をつきました。
普通に贈り物をしても、
貴方は絶対に驚かないから…
たまには、驚く貴方が見たくて。
間に合わなかったフリをしました。
少しは驚いてくれましたか?
貴方はいつでも私を、
大きな愛で包んでくれてる。
私はそれが本当に嬉しい、と同時に…
私も貴方を包んであげたいと思うの。
貴方は意地悪で、考えが読めなくて、
やっぱり自分を大事にしないから。
切れ味の鋭すぎる貴方を、
私は守る役割になります。
だから、どこへでも行って、
お役目に励んでください。
その代わり…必ず私の元に帰ってきて。
私はおかえりと言って
貴方を必ず迎えます。
手を広げて、待っています。
そりゃ、たまには寂しくなるけど…
貴方が帰って来てくれると信じてるから
私はいつでも待っていられます。
光秀さん、貴方を愛していますよ。
誰よりも、何よりも…
お誕生日、本当におめでとうございます。
一番にお祝い出来て、嬉しいです。
これからも、ずっと傍にいさせて
くださいね。
美依より』
(───………っ)
胡座を掻いたまま、思わず口元を手で押さえる。
こんな感情…どうすればいい?
愛しさが溢れて、どうしようもない。
昨夜までは若干落胆した自分がいた。
でも、今はどうだろう。
この上ない幸せが溢れて…
胸が押し潰されそうに、苦しい。
「……この、馬鹿娘」
まんまと謀られた。
参った、翻弄するのは慣れていても…
翻弄されるのには、慣れていない。
こんな小娘に、振り回されて。
感情まで浮き沈みさせられて。
俺も大概に…解りやすい男だな。
ふぅーっと落ち着かせるように息をついた。
そしたら、騙された自分に笑いが込み上げて…
思わず声を殺して笑ってしまう。
本当に美依には驚かされてばかりだと。
予想の上を行くその振る舞い。
俺も本当に馬鹿者だ。
謀られた自分に幸せを感じるなんて。