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【イケメン戦国】零れる泡沫*恋奏絵巻*《企画集》

第31章 〖誕生記念〗煌めく一番星に想いの華を / 真田幸村






────美依と信玄が宴を出ていってから






その仲睦まじい様子を見ていた幸村は、苛立つ気持ちを隠しきれずに、仏頂面になっていた。

こそこそと何を話していたのだろう。
何故二人で宴を抜け出したのだろう。
二人の関係を疑っている訳では無いが…

だが、昨日の事もあり、美依には話しかけづらい。

美依はあの時、寂しげな顔をしていた。
誕生日を一緒に祝えない事、あの時も美依を慰めたつもりだった。



(俺だって、出来ればそうしてやりてー)



指折り七日を楽しみにしていた美依。
そんな姿を見ていたからこそ…
それをしてやれない自分に腹が立つ。

だが、戦に出なくてはならない。
正直、誕生日どころではないのも解ってる。
それでも…美依のあんな顔を見るのは堪える。

幸村は胡座に頬杖をつき、溜息をついた。
すると、さっき席を外した佐助が戻ってきて…
幸村の隣に座ると、今一番欲しい情報を口にした。




「美依さんと信玄様、河原へ向かったみたいだ」

「あ?」

「気になるんなら追いかければいい、違う?」

「……」




このままではすれ違ったまま、明日出立する事になる。

負けない自信はあっても…
例えば『何か』あってからでは遅いのだ。
ならば、今仲直りをしておかなくては。

幸村は『抜けるわ』と一言告げ、やや急ぎ足で宴の席を外した。

そんな様子を後ろから見ながら…
佐助は珍しく、少し安堵したような表情を浮かべたのだった。












*****












「信玄様見てください、水面に星が映っていますよ!」

「本当だ、綺麗だなぁ」




私は信玄様に連れられ、城下にある河原へとやって来た。

思った通り、今夜は晴れていて。
濃紺の夜空には、乳白色に輝く星々が、細長い帯を作っていた。

それだけでとてもロマンチックなのだけど…
教えてもらった『逸話』の通りにするならば、幸村と一緒に流れ星が流れるのを待たねばならない。

この後、幸村を呼びに行ってくれるのかな。
そう思いながら、川辺にしゃがみ込むと…

幸村を呼びに行く様子もなく、信玄様はニコニコ笑いながら私の隣にしゃがんできた。






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