第30章 〖誕生記念〗恋々路に降る星屑と煌 / 織田信長
「私、はぐれてました……?」
「振り返ったら、貴様と距離が出来ていて驚いた。俺の傍を離れず、きちんと付いてこい」
「あ、すみません……」
(だから怒ったのか、でも……)
信長様は私の手を引き、再度歩き出す。
手を繋いだのなんて、初めてで…
またドキドキする要素が増えてしまった。
触れ合った手から、温もりが伝わる。
それは大きくて、私の手をすっぽり包み込んで…
まるで守られているようで、なんだか泣きたくなった。
信長様、貴方の特別になりたいんです。
キスしようとしたり、逢瀬に誘ってきたり。
そして、こうして手を繋いできたり…
一体何を考えているのかな。
少しは、私の事を考えてくれてるの?
焦がれる、甘い感情。
貴方の誕生日っていう特別な日に…
想いを伝えたら、貴方は困ってしまうかな。
でも、正直もう限界に近い。
想いが堰を切って溢れ出そうで。
お願い、私の気持ち、
受け入れてくれませんか……?
「わぁ…すごい!」
信長様に連れられて来たのは、一面に花が咲き乱れる花畑だった。
赤、黄、橙、桃色…
まるで色鮮やかな絨毯のように花が敷き詰められ、そしてそれらを照らすように、満天に星が煌めいている。
とても幻想的で、ロマンチックな風景。
私の心は一気に跳ね上がり、興奮しながら信長様に話しかけた。
「とても綺麗な場所ですね、信長様!」
「ああ、開けていて良い場所だ。気に入ったか?」
「はい、とても!星も花も…本当に素敵です」
「ならば、良かった」
すると、信長様は満足そうに笑い…
そのまま花畑に腰を降ろした。
そして、腕を広げると、私を見上げて言う。
まるで『誘惑』のような言葉を。
「来い、俺の膝の上に座れ」
(えっ……)
その言葉に思わず目を見開けば、信長様は私の手を下からグイッと引っ張った。
その弾みで、私は信長様の膝に倒れ込んでしまい…
思わずその肩にしがみついたら、まるで花のような鮮やかな笑みが目の前に広がる。
信長様は私の腰を腕でしっかり引き寄せ。
そして、私を膝の上に横座りにさせながら、艶のある声色で言った。