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【イケメン戦国】零れる泡沫*恋奏絵巻*《企画集》

第28章 〖誕生記念〗想ウ、君ノ名ハ【中編】/ 徳川家康






────ピンポーーン





(……あれ、誰か来た?)


突然鳴った玄関のインターホンに、俺は思わず目を見開いた。

こんな朝早くに誰だろう。
そもそも、うちを訪ねてくる人物なんて、数少ない。

紗奈は住所は知っているが……
俺に気遣ってか、訪ねてきたことはないし。




「ちょっと行ってくるから、着替えてなよ」




美依を寝室に一人残し、玄関へと急ぐ。
不審人物だと困るので、扉は開けずにモニターを覗いて……

その瞬間。
俺は思いっきり眉間に皺を寄せた。




「……はぁ?なんで、この人が……!」




モニターに映っている、訪ねてきた人物。
それには見覚えがあった。
だが……
知らない訳では無いが、親しい訳でもない。

なんで『この人』がうちを訪ねてくるんだ?
そもそも、家を教えた覚えはないが。




「……はい」




だが、開けないと面倒臭いことになりそうなので、俺は恐る恐る玄関の扉を開いた。

すると、そこに立ってた人物は……
朝早くに訪ねて来た事に悪びれる素振りも見せず、にやりと不敵な笑みを浮かべて口を開いた。






「よお、家康。久しぶりだな」






俺と、ほぼ同世代で。
無動作に伸びた黒髪と、整った顔立ち。
濃青の瞳を野性的に光らせた、この人。


────『伊達政宗』である


学部は違うが、大学時代の先輩だ。
この風貌からか、やたらと女子達に人気があって……

女の噂は絶えず流れていた、ものすごく目立つ人物。

『久しぶり』の言葉の通り、この人に会うのは大学時代以来だが……
なんでうちを訪ねてきたのだろう?




「久しぶりです、政宗さん」

「いるんだろ?あいつ」

「なんですか、藪から棒に」

「美依だよ、ここに居るって聞いたぞ」

「は……?」




その言葉を聞き、目が点になる。
だが、即座に頭に思い出したのは……
昨日の飲み会での会話。








『美依……彼氏いるの?』

『あれ?家康知らなかったのか、美依と結構仲良かったのに』

『知らない、誰?』

『あれだよ、うちの法学部だった超イケメンな先輩』








あの時、思い当たった人物は……
まさに、この人だった。






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