第28章 〖誕生記念〗想ウ、君ノ名ハ【中編】/ 徳川家康
「きゃあぁぁぁぁぁぁ!!」
(…………!)
────翌朝。
突如響き渡った叫び声に、俺は寝ていたソファから飛び起きた。
そして、声のした方に振り向く。
そっちは……寝室だ。
あ、そっか、美依が起きたんだな。
俺はそれを即座に理解し、苦笑してソファから立ち上がった。
久しぶりにソファでなんて寝たから……
身体中がバキバキして痛いような気がするな。
そんな事を思いながら、寝室へ足を向ける。
今朝も、すごく冷えていて──……
とても寒さの厳しい一日の始まりだった。
「なん、で…私っ……!」
寝室に来てみれば、美依がベッドの上であたふたしながら、必死に衣服を拾い集めていた。
本当に落ち着きがないな、まったく。
まぁ、この状況じゃ仕方ないけれど。
────コンッコンッ
俺が来たことも解っていないようなので、寝室の入り口の壁を敢えて叩いてやる。
すると、美依はびくっ!となって…
ゆっくり俺の方に振り向き、その大きな瞳をさらに見開いた。
「家、康っ……」
「おはよう、酔いは冷めた?」
「ここ、家康の家……?」
「うん、あんたが昨日泥酔して帰れなくなって、仕方なく連れて来たんだけど」
「なんで、私…服着てないの…っ?!」
「酔っ払って自分で脱いだの、忘れたの?」
俺がそう言えば、美依は半泣き状態で、掻き集めた服を必死に着始める。
そんな美依の姿を見て……
昨夜を思い出し、小さくため息をついた。
(……全て自分で脱いだって事にしておこう)
正確に言えば、半分は俺が脱がせた。
ワンピースのボタンを外して、はだけさせて…
その時点で思い留まった。
俺にも自制心はある、酔っ払った女の子を抱くなんて…そんな鬼畜な事出来るかと。
……まぁ、キスくらいは許してほしい。
それだけで堪えた自分も、割と頑張ったと思う。
それ以上勝手に脱いだのは、美依自身だ。
酔っ払うと、こんなに無防備になるなんて……
俺じゃなかったら、襲われてるよ、絶対。
────でも、やっぱり憎めないよなぁ
そんな風に思い、また口元が綻んだ。
その時だった。