第28章 〖誕生記念〗想ウ、君ノ名ハ【中編】/ 徳川家康
「んっ……」
柔らかな唇を啄み、そっと離すと……
それだけで温もりが移った気がして、身体がカッと熱くなった。
俺も酒が回ったかな。
このまま美依を暴いてしまえたら、どんなにいいだろう。
そう思い、美依のワンピースに手を掛ける。
そのまま胸元のボタンを……
一つ、また一つ。
ゆっくりゆっくり外していく。
(こんな事して、ほんと……俺)
馬鹿だなぁと思うし、愚かだ。
でも……あんたが悪いんだよ、美依。
そんな風に美依のせいにして。
この子を攻める理由を作る。
酔っ払った所を襲うなんて…どんな理由があったとしたって絶対駄目なのに。
────ぷつっ
そして、またボタンを外し。
美依の胸元をゆっくり開いた。
そこから姿を現した、真っ白な肌。
呼吸するたびに上下する胸元
それだけで、何故か色っぽい。
そして、下着は清楚な白のレース。
こーゆーのまで…本当にそそられるから参る。
「…っ美依………」
名前を呼んで、その鎖骨の下に噛み付いた。
ちゅぅっ…と強く吸えば、そこには紅の華が咲く。
ああ、駄目だろう、こんな事をしたら。
起きて美依が、これを見たら……
絶対困惑するだろうし、もしかしたら嫌われるかも。
────でも、いいかな、嫌われても
「んっ……んんーー……」
「美依……」
「やぁ…のぉ………」
「………」
なんの夢を見ているのかな。
俺の夢でない事は、確かだろうが。
少しだけほろ苦い。
この気持ちの行き先は──……?
凍える肌を、温めてよ。
凍てつく心も、抱き締めて。
締め付けられて、想い。
苦しくて、切ない。
その落としたキスは、鮮やかな紅で。
まるで、俺を戒めるような色だった。
美依の真っ白なキャンパスに落ちた……
罪色の絵の具なのかな?
そして、狂うような苦悩の夜は続いて。
俺は、もう──……
そうするのが必然かのように、その華奢な身体を抱き締めたのだった。
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