第26章 【Xmas企画】甘い彼氏はサンタクロース / 織田信長
「私は今、すごく幸せなんです。貴方の側にいられて…一番欲しい物はもう手に入っています」
「……」
「だから、私の欲しい物はありません。でも、強いて言うなら…貴方とこれからも幸せな時間を過ごしたいって事だけですね」
これは、心からの本音だから。
好きな人に愛してもらえて、こうして側にいてもらえるなら…私は何も欲しいものなんてないと。
ワガママになったら、逆に幸せが逃げてしまいそうで、怖い。
すると、信長様は私の頭を優しく撫で、そのまま手を顔に滑らせて、顎を掬い上げた。
そして、額にそっと口づける。
柔らかな温もりが落とされて……
目が合うと、信長様はその紅い瞳を眩しそうに細めながら、穏やかな口調で言葉を紡いだ。
「貴様は…呆れるくらいに愛らしいな」
「……っ、そんな事ないですよ」
「いや、これほど愛しく思える存在は他にはいない。くりすますも、共に幸せに過ごさねばな」
「はいっ…!」
二人で微笑み合い、そして唇同士を重ねる。
そうしたら、気持ちまで重なった気がして、温かくなって……
私は大きな温もりに、そのまま身を委ねた。
────ねぇ、信長様?
貴方を温めたいと言った、あの日から……
貴方はとても、優しい目をするようになった。
そして、私の心臓は貴方に奪われてから、もっと熱く、貴方に向けて鼓動を打つようになった。
それは、貴方を愛していますよ、と。
私の身体中が叫んでいるからなのだと思う。
『貴方とこれからも幸せな時間を』
それをサンタさんに願うのなら、サンタさんはどうやって私に届けてくれるのかな?
貴方が信じていれば来ると言うのなら……
信じて待っていてもいいのかもしれませんね?
その日はそれから、信長様と二人で天主の中の飾り付けをして、とても楽しい時間を過ごした。
こんな風にクリスマスの前から楽しい。
貴方といると、なんでも幸せに思える。
赤、緑、金。
鮮やかなクリスマスカラーは、私の心まで鮮明に染めて……
天主の外に淡雪が降り出したのにも気づかないほど、私の心を温めたのだった。
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