第26章 【Xmas企画】甘い彼氏はサンタクロース / 織田信長
「せっかくなら信長様とお祝いしたいなって」
「それで張り切って準備をしていたのか、愛らしい女だ」
「あ……っ」
すると、信長様は髪を弄る手とは逆の手で、私の腰を引き寄せる。
距離が近づき、信長様に身体がくっついてしまうと、信長様は至近距離で私を見つめ…やがて唇を一回軽く啄んだ。
ちゅっ、と甘い音が天主に響いて……
柔らかな唇の感触と甘やかな水音に、私は思わず顔がカッと熱くなった。
「信長、様っ……」
「相変わらずすぐに赤くなるな、貴様は」
「いきなり口づけるからですっ」
「愛しい者を愛でたいと思うのは当然だ」
(うー、何言っても敵う気がしないなぁ)
間近で可笑しそうに微笑む信長様を見てると、やっぱりこの人には一生勝てないんだろうなってそう思う。
でも、敵わなくてもいいかな。
この人にはずっと振り回されたいと思ってしまうし……
そう思う自分も、別に嫌ではない…なんて。
惚れた弱みかなぁと思っても、実際そうなんだから仕方ない。
「くりすますを祝うのなら…"さんたくろーす"に頼む、欲しい物は決まったのか?」
「へ?」
「確か、贈り物を届けにくるのだろう?」
と、信長様の口から『サンタクロース』なんて言葉が出て、私は思わず目を見開いた。
確かに信長様にサンタさんの説明もした。
寝てる間に贈り物を枕元に置いていくんですよ、と。
でもそれは本当にサンタさんが居る訳じゃなく、お父さんやお母さんがこっそり子供の枕元に贈り物を置くのだと。
だから子供しか信じていないって…
そう説明したんだけどな?
「信長様、私もうサンタさんを信じる年ではないですよ?」
「だが、信じていれば来るかもしれん、さんたくろーすとやらが」
「そうなのかなぁ……」
「ああ、きっと来る」
あんまりにも信長様が自信満々に言うので、なんか可笑しくなって、私は苦笑してしまった。
欲しいもの、と言われても。
私は今、すごく満たされている。
好きな人が側にいて、私を愛してくれて。
これ以上望んだら、バチが当たらないかな。
「美依?」
私はそのままそっと、信長様の胸に顔を埋めた。
そして、ありのままの心の本音を……
信長様に素直に打ち明ける。