第26章 【Xmas企画】甘い彼氏はサンタクロース / 織田信長
サンタさんって、いつまで信じてた?
いつしか夢は夢じゃなくなって、
少しだけガッカリしたいつかの私。
それでも──……
心のどこかで信じてたのかな。
なんでも欲しいものをくれる、
とびっきりのサンタさんを。
聖夜に祈れば、きっと届く。
それは白いヒゲを携えた、
想像上のサンタさんじゃなくても。
私だけの、甘く優しいサンタクロースが
贈り物を届けてくれること──……
*****
「美依…何をしている」
「あ、お帰りなさい、信長様!」
雪も降りそうなくらい、寒い寒い師走の今日。
天主であれやこれやと動く私に、戻ってきた信長様が不思議そうに問いかけた。
私は今、天主内を飾り付けしている。
千代紙で作った鎖や、星や、靴下や。
あとは文字の書かれたガーラントも。
信長様はそれらを見ながら、不思議そうに首を傾げ……
私に再度、同じように言葉をかけてきた。
「南蛮の文字か、一体何を始めようとしている」
「信長様、もうすぐ十二月二十五日ですよ」
「そうだな、師走もそろそろ終わる」
「十二月二十五日はクリスマスだから」
「くりすます……」
私が得意げに言うと、信長様は一回視線を泳がせ、やがて何か思い当たったように、にやりと笑った。
「ああ、この前貴様が説明していたやつか。異国の宗教の特別な日で…貴様の居た世では、前夜から宴を開くなどをして祝うと」
「そうです、それです!」
私が笑って信長様に近寄ると、信長様は指先で私の髪を弄び始め、また満足そうに微笑んだ。
十二月二十五日はクリスマス。
その話をこの前信長様に話したばかりだった。
二十四日にはパーティ…宴をして楽しんだり、と話したところ、信長様は興味深々って感じで聞いていたな。
現代にいた頃は、毎年の行事だったクリスマスも、戦国時代に来てしまえばそれは当たり前ではない。
(それでも、信長様とクリスマスを楽しみたい)
クリスマスは恋人達で贈り物を贈り合ったり……
二人で聖夜を過ごすのは特別だから。
そんな特別な日を、恋仲である信長様と一緒に過ごしたかった。