第25章 〖誕生記念〗月下の蜜華に魅せられて / 石田三成
「ぁっ…もう、出ますっ……!」
「ぁあっ、みつ、なり、く………っっ!!」
「……っっ!そんな、締めたらっ…ぁっ!」
月明かりに浮かぶ、二つの影。
それは、いつまでも重なり合い……
その情事の蜜度を物語る。
今まで躊躇っていた時間を埋めるように、私達は離れがたく、何度も何度も交わり合った。
誕生日の贈り物。
それは何よりも温かく、優しくて。
渇いた私を、限りなく満たした。
『もう、貴女を離しません』
そう囁いたら、貴女は可愛らしく笑って。
『それは、私も同じだよ』と。
とても嬉しい返事を返してくれた。
ずっとずっと、一緒に居ましょうね。
これからは甘い夢もたくさん見て。
そうして空が白んだ頃、私達はようやく眠りについた。
貴女を腕に抱きながら見たのは……
金木犀の傍で、優しく貴女が笑ってる。
そんな、優しい優しい夢だった。
*****
「もう、そーゆー事言わないでください!」
(ん?あれは……美依様?)
城の書庫から出て、廊下を歩いていると。
美依様の叫んだような声が聞こえ、私はそちらの方に視線を向けた。
すると、城の中庭には美依様と光秀様と家康様が居て。
何やら美依様が真っ赤な顔をして、珍しく光秀様に食ってかかっていた。
「それは敢えて言わないのが暗黙の了解じゃないですか!」
「俺はてっきり見せびらかしたいのかと」
「〜〜〜っ!そ、そんな訳ないでしょう!」
「……光秀さん、そろそろやめてあげた方が」
三人で何をやっているのだろう?
美依様のあの様子だと、光秀様に何かされたとか、そういう事だろうか。
美依様があんなに怒るのは珍しい。
よっぽど何かあったに違いないと……
私は廊下から中庭に降りると、ゆっくり歩いて三人に近づいた。
そして、背後から美依様の傍に寄って、その華奢な肩を後ろからぽんと叩く。
すると、急いで振り返った美依様が、私を見て目を丸くさせて……
それを見た光秀様が、これまた美依様をからかうような口調で言葉を紡いだ。