第25章 〖誕生記念〗月下の蜜華に魅せられて / 石田三成
────それは、私の知らない所で
すでに物語は始まって、動いていたのだ
『えっ…それ本当ですか、光秀さん』
『本当だとも、だから試してみるがいい』
『あの鈍感な三成にはいい薬じゃない?』
『……っ、家康まで……』
『悩んでいるのだろう、美依?』
『は、はい……』
『なら、こっちから先に打つのも手でしょ』
『そ、そっか…解った』
『"それ"は後日部屋に届けてやろう』
『ありがとうございます、光秀さん』
『悩みが解消する事を祈ってるよ、美依』
『家康も、本当にありがとう!』
まさか、そんなやり取りが美依様と光秀様と家康様の間で交わされていたなんて、私はちっとも知らなかった。
知らずに私は罠にかかり……
まんまと、それに魅入られる羽目になる。
でも、私がその話を聞いたのは、貴女の可愛い本音を聞けた時。
今はまだ──……
熱く疼く身体を、必死に堪えている。
そんな日々が続いている最中だったのだ。