第24章 〖誕生記念〗艶やか椛と嫉妬の蜜菓子 / 明智光秀
「お前は案外悪女だったのだな、美依?」
「…っ光秀さん……」
「俺に嫉妬させたくて、わざと秀吉と…」
「え、違っ…あっ」
そのまま下に降り、その細い首筋に噛みつくと、美依の肩がびくりと跳ねる。
ちゅう…ときつく吸い付き、唇を離せば。
そこには赤く華が咲いて、嫉妬した証が鮮やかに残った。
「ああ、いいな」
「…っこんなとこに付けたら駄目です」
「お前が俺のものだと解っていいだろう?俺に嫉妬させた仕置きだ」
「そ、そんな……んんっ」
舌でぺろりとその痕を舐める。
その白い肌は、甘い良い匂いがして…
一気に心と身体の芯に火が付いた。
美依の作った『ぱんけーき』
食うのは、少し後回しになりそうだ。
だって、今すぐお前が欲しくなった。
俺にとっては、お前が……
────何よりも美味い
最上の甘味なのだからな
「誕生日の贈り物、貰っていいか」
俺が強く腰を引き寄せ、片手で顎を掬うと、目を真っ赤にさせた美依が、どこか煽情的に俺を見つめてきた。
少し触れただけで、こんな顔をして。
その先を欲しがっているのが、丸分かりだぞ?
それに、これは『仕置き』だ。
それなりに…覚悟は出来ているのだろうな。
「俺を祝ってくれるのだろう?だが…ぱんけーきを食うのは後回しだ」
「光秀さ……」
「お前に解らせねばならないしな。お前と秀吉を見て、俺がどれほど焦れたか…それに、俺は知っている。極上の甘味は何か」
「……っ」
「それはな」
────お前だ、馬鹿娘
「あっ……!」
美依が小さく息を飲んだのを合図に、俺はその小さな身体を畳へ押し倒した。
そして、暴いていく。
性急に、その部屋の空気を桃色に変えていく。
甘ったるい声を漏らし始める美依。
その吐息すら奪うように……
俺は、その桜色の唇を深く塞いだ。
もうすぐ刻は誕生日。
その刹那に、愛しい女と繋がっていたいと…
そんな甘味より甘い時間を、俺は切に望んだ。
涼しい秋風が頬を撫でて…
熱くなりだしたその身体を、眩い月影の下に晒したのだった。
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