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【イケメン戦国】零れる泡沫*恋奏絵巻*《企画集》

第1章 【ドリノベ内企画】路地裏アンアン in 光秀 / 明智光秀




「お前、俺の話をどこまで聞いた?」

「……」

「答えろ、美依…いい子だろう」

「……」

「怒ったりはしない。だから、正直に話せ……何故そのように黙っている?」

「……」




(……このままでは、埒が明かないな)


美依に全て聞かれたとなれば、多少なりし口止めする必要はあるだろう。

だがそうでないとしたら、別に放っとけばいい。
小娘一人くらい、いくらでも騙せる。

だから、美依がどこまで話を聞いたのか、それはハッキリさせなければならない。

場合によっては、計画が全て台無しになる。
小娘が邪魔になるようなら…また計画を練り直さなければ。




「美依、言わなければ城には帰さんぞ」

「……光秀、さんは………」

「……なんだ」




ようやく口を開いたかと思ったら、美依はキッと見上げ、真っ直ぐに俺を見つめてきた。

怖いくらいに澄んだ瞳は、若干潤み……
俺を見つめながら、桜の花弁のような唇から、弱々しく言葉を紡いだ。






「織田軍のみんなを、裏切る気なんですか…?」






(美依……)


これはつまり、全てを聞いていたのだな。
言葉が聞けて、少しだけ安堵した半面……

美依を巻き込んだことへの罪悪感を覚える。
美依にはあまり、このような薄汚い世界は見て欲しくないのが本音で。

俺は信長様は裏切らないが、謀反人は裏切る。
けしかけ、裏切って捕まえるための『嘘』の奇襲計画だけれど。

美依は、どうやら信じてしまっているらしい。
俺が本気で信長様を裏切り、狙うつもりなのだと。




「お前はどう思う、美依」

「私、ですか……?」

「俺が信長様を裏切って、本気で奇襲をかけると。そのように思うか?」

「……私は」




美依は一瞬、口ごもり。
その後、ゆっくり首を横に振った。




「光秀さんは、裏切ってないと思います」

「……」

「信じてますから、光秀さんのこと……」




信じてる、か。
美依の答えは、俺の予想に反していた。

てっきり、お願いだからやめてくれと言われると思ったが。

美依は何を思って、俺を信じるのか。
珍しく人の考えが読めず、俺は思わず眉をひそめた。






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