第23章 〖誕生記念〗一花繚乱、瑠璃色の蝶 / 伊達政宗
(美依…やっと俺のもんになる)
美依の部屋を目指せば、馬鹿みたいに足取りも軽い。
口元は緩んでくるし…
俺自身、よっぽど楽しみにしていたと言う事が、みっともないくらい丸解りになっていた。
欲しくて、焦がれて。
そんな日に、今日こそ終止符を打つ。
そんな決意を秘めた心は…
痛いくらいに締め付けられ、俺は苦しくも、どこか満たされた気持ちになっていたのだった。
*****
「政宗、早かったね!」
きっかり、約束の昼時。
俺が美依の部屋を訪れてみれば、その部屋の主が花のような可愛らしい笑みで出迎えた。
目をきらっきらさせて…
俺が来るの、楽しみにしてたな、絶対。
それを思ったら、何だか愛しくなって…
俺は腰を軽く折ると、さっと掠めるようにその唇を奪う。
すると、美依が一瞬豆鉄砲を食らった鳩のように、きょとんとした顔をして…
直後頬を真っ赤に染めて、俺を睨みつけた。
「ちょっと…いきなりなにするのっ?」
「したいと思ったからしただけだ」
「いつも言ってるでしょ、恋仲じゃないんだから、こーゆー事しちゃだめって」
「別に、今更だろ」
「もうっ…」
(あーあ、頬膨らませて…可愛い奴)
こーゆー反応するから、止められないんだよな。
何回しても素直で初心な、可愛い反応。
その先を求めたら…一体どれだけ可愛いんだろうな?
そんな走りそうな気持ちをぐっと堪え、美依の向こう側に見える部屋の中を覗いてみれば。
中には御膳が並べられ、ほかほかと湯気が立っているのが確認出来た。
やっぱり、台所に籠っていたのはコレか。
俺の為に祝い膳を作っていたんだろうな。
「お招きありがとな、美依」
「う、うん、まぁね……」
「中、入っていいんだろ。ほら…口づけくらいでむくれるなって」
「むー……」
膨らむ頬をぷにっとつねって苦笑する。
困ったように見上げてくる顔も可愛い、だから困るな、ほんと。
俺は心の中でも苦笑しながら、美依の部屋に足を踏み入れた。
これからその膳を一緒に食べて、その後は?
色々な想像が頭を巡って…
また気持ちが高ぶったのは言うまでもない。