第22章 〖誕生記念〗小生意気な彼女 / 真田幸村
「いたっ…!」
「抜け出すんじゃねー、まだ腕の中にいろ」
「でも、贈り物が机に入ってるから…」
「そんなもんは、どうでもいいんだよ」
改めて、ぎゅうっと美依を抱き締める。
美依の身体は、まだ熱を失っておらず、熱いままだ。
柔らかく、いい匂いのする美依。
今、この瞬間、コイツが傍に居れば…
俺はそれ以上、欲しいものなんてない。
「お前が居て、こうして腕の中に居れば、他には何も要らねー」
「で、でも……」
「俺がいいって言うんだからいーんだよ。その代わり、お前をもっと堪能させろ」
「んっ……」
抱き締めたまま、腰の辺りを手で撫でると、美依がびくりと肌を震わせ、耳元で甘い息を漏らす。
あー、肌が手に馴染んで気持ちいい。
しっとりしてるし、すべすべで柔らかいし。
ずっとずっと、触れていたくなる。
そう思って背中から腰までを手で這い、ついでに柔らかい尻も揉んでいると…
美依が抵抗するように身を捩り、なんだか涙目になって俺を睨んできた。
「幸村、手がいやらしい!」
「そうでもないだろ、別に」
「いやらしい!スケベだ!」
「あのな…それを言うならお前は小悪魔だろ?」
「は、はぁ〜?!」
「普段は幸村って呼ぶくせに、閨ではゆきって呼んできやがって。どれだけ俺を振り回すんだよ」
俺が言うと、美依は口をパクパクさせ、ふいっと視線を逸らした。
ああ、少し言い過ぎたな。
そう思って、美依の肩に顔を埋める。
そして擦り寄るように顔を動かすと…
美依が少し焦ったように声を上げた。
「もう、そうやって幸村は…!」
「んー気持ちいい、すげーいい匂い」
「……っ、ばかっ」
「ばかって言う方がばか」
「〜〜……っ!知らない、もうっ」
そう言いながらも、美依は俺の頭を撫でてくる。
甘えるって、いいもんだな。
美依にくっついていられるし、堪能できるし。
はっきり甘えたいなんで言えないけど…
愛し合って迎えた朝くらい、別にいいだろ?
そんな幸せな時間を噛み締めながら…
俺は少しだけ微睡んで、夢心地になったのだった。