第22章 〖誕生記念〗小生意気な彼女 / 真田幸村
「ゆきっ、も、だめぇぇっ…!」
「締め、んなっ…ぁっ、出るっ……!」
そして、蕩け合う夜をいつまでも。
馬鹿みたいに喧嘩して、仲直りして。
また喧嘩しては、仲直りを繰り返して…
俺とお前は、それでいい。
特別な日も、何にもない日でも。
また愛を確かめ合って、溶けていく。
美依に酔わされた誕生日の夜。
それは、熱く甘く、満たされたまま過ぎていった。
酔って、いつもより少し大胆で可愛い、小生意気な俺の女は。
乱れに乱れて、あっという間に眠りに落ちて…
相変わらず翻弄されっぱなしの俺は、思わず苦笑を漏らしたのだった。
*****
(……よく眠ってんな、可愛い)
夜明け前。
褥の中で、俺が先に目を覚ましてみると。
俺に腕枕をされながら、美依はぴったりくっついて穏やかな寝息を立てていた。
こうして見ると、いつもより少し幼く見える。
先程までの淫らな『女』の顔はどこかに行ってしまい…
ただただ可愛く眠る、いつもの純朴な美依の姿がそこにはあった。
「…ったく、お前には振り回されっぱなしだっての」
俺は美依を見つめながら、くすっと笑う。
素直で真っ直ぐで…
故に、無自覚に人を惹き付けて。
そんな魅力的な美依が、今腕の中にいる。
それだけで、自分が驚くほど満たされ…
心から優しく笑む自分がいる。
今が乱世だと言うのを忘れるくらいに。
ずっと、こんな幸せな時間が続けばいいのに…なんて、柄にもないことを当たり前のように思った。
「んっ…んぅ〜……」
優しく額の髪を梳いてやっていると…
美依が寝ぼけ声を上げて、ゆっくりと瞳を開いた。
そのまま、間近で視線が絡み合う。
ふわふわと微睡むのがまた可愛いな、なんて思っていると、美依は開口一番で何故か謝ってきた。
「幸村ごめんっ…」
「あ?」
「誕生日の贈り物、まだ渡してない!」
「んなもんはいい」
「良くないよ!」
すると、美依は身を起こして腕から抜け出そうとしたので、腕を掴み、再度褥に引っ張り込む。
なんだか不服そうな表情をする美依に…
俺はぴんと鼻の頭を指で弾いた。