第22章 〖誕生記念〗小生意気な彼女 / 真田幸村
「ぶすなんて、嘘だから」
「え……?」
「お前はすげー可愛い」
俺が言うと、美依は首を少し上げて、俺を見つめてきた。
赤くなった頬、瞳には涙をいっぱい溜めて。
少しびっくりしたような、きょとんと面食らったような。
そんな表情ですら愛らしい。
俺の恋仲の女は…
声を大にして触れ歩きたいほど、馬鹿みたいに可愛い。
「悪かったな、ぶすとか言って。でも…俺はいつも思ってる。怒った顔も泣いた顔も、笑った顔も…お前以上に可愛い女なんか居ねーって」
「幸村…」
「もちろん酔っ払った顔も。だーかーら!」
「きゃっ……」
抱き締めたまま、ふわりと美依の身体を褥に押し倒す。
その小さな身体を組み敷きながら…
俺はその潤んだ瞳に、そっと口づけた。
「そんな可愛い顔、俺以外に見せんな。そうやって可愛く酔っ払う姿なんか、誰にも見せたくない」
「幸村、ヤキモチ……?」
「おー」
「そんな、はっきり…!」
美依は俺の言葉に照れたのか、赤い顔をさらに火照らせて下から見上げてくる。
あー、その顔も可愛いな。
なんでコイツはこんなに可愛いんだろう。
惚れた弱みでも、何でもいい。
俺のもんだから、コイツの全て。
────だから、全てを奪いたい
愛しい感情を、丸ごとお前に伝えたい
「嫌なもんは嫌だ。それが信玄様でも、誰でも」
「あっ……」
そのまま顔中に淡く口づけを落としていく。
唇が触れるたび、美依は息を詰まらせたり、熱く吐息を吐いたり。
漏れ出る声ですら、可愛くて愛しい。
それを奪うように…
俺は最後に唇同士を重ね合わせた。
「んっ…ぁ……」
すぐに深くなった口づけは、まるで思考回路まで蕩かしていく。
口の中や絡めとった舌は、甘くて苦い酒の味がして。
それだけで酔わされているような、そんな気分になってくる。
だって、口の中も身体も熱い。
そんな熱い身体が、口づけるともっと体温を上げるから…
可愛いって思うだろ?
お前に馬鹿みたいに酔いたくなるだろ?
もう、溺れてるのは確実だけど。
何度だって、思う。
小生意気なお前が、すげー好きだって。