第21章 〖誕生記念〗愛され兎と真紅の『かれし』/ 織田信長

「んっ…ぁっ……」




少し強引に差し込まれた舌先に誘われ、それに応えれば一気に絡み合う。

唇からはいつしか、甘い吐息が漏れ…
身体はまさぐられるたびに、熱を上げた。

角度を変え噛みつかれ、また角度を変えては深くなる。

そんな濃く甘い口づけに、すっかり溶かされて。
ちゅっ…と水音を立てて離れた時には、私はすっかり崩れる一歩手前になっていた。




「……相変わらず、良い顔をする」




すると、信長様が途端に意地悪く笑った。
何かを愉しんでいるような、そんな顔。

いや…蕩けた私の顔に愉しんでるんだ。
そう思ったら、一気に恥ずかしくなって顔が熱くなった。




「そんなに口づけが良いか、美依」

「き、聞かなくても解るでしょうっ…？」

「そうだな、もっとしてくれと顔に書いてある」

「……っ」




からかわれて、言葉に詰まる。
こーゆー所は相変わらず、意地悪だ。

でも、もっとしてほしい。
寂しかった時間を埋めるくらい…たくさん。

そんな思いを込めて、信長様を見上げる。
すると、信長様の瞳が微かに揺れた。
一瞬だけ視線が逸れて、再度絡んで見れば…
その瞳は熱を宿し、赤々と燃えるみたいに光っていた。




(信長様……？)




「貴様のそのような目は…本当に参る」




やがて、口を開いた信長様がぽつりと言った。
そして、襟元に手が掛かり…
やんわりと開かれれば、熱くなった素肌が外気に晒される。

信長様は頬から首筋、鎖骨へと指を滑らせ…
まるでその感触を堪能しているように見えた。




「どのような目で俺を見ているか、自覚があるか」

「え……？」

「男を欲しがる女の目だ。貴様のそのような目を見ていると、狂いそうになる。情欲に負けて…貪りたくなる」

「……っ」

「だが…貴様も欲しいのだろう、美依？」




まるで私を煽るような言い方。
それこそ、聞かなくても解ってるはずなのに。
私に言わせるなんて、本当に意地悪。

火照った身体、きちんと責任取ってください。

私は再度信長様に腕を回し、そっと引き寄せた。
そのまま耳元で、掠れる声で告げる。




────貴方が欲しい、と