第17章 【戦国Xmas】明智光秀編
「これを、お前に見せたかった。でももう一つ、見せたいものがある」
「もう一つ…?」
「どちらかと言うと、そっちが重要だ」
そう言って俺は懐に手を入れ、小さな木箱を取り出した。
それを美依の手に乗せる。
美依はきょとんとした顔で、その木箱を見つめ…
俺に向かって不思議そうに言葉を紡いできた。
「なんですか、これ」
「お前を不安にさせた理由のものだ」
「え……?」
「開けてごらん」
俺に促され、美依はゆっくりとその木箱を開いた。
開いた途端『えっ!』と声を上げる。
その反応からすると、驚かすのには成功したらしい。
「綺麗な首飾り…月だ…」
「南蛮の商人から買い取ったんだ。綺麗だろう?」
「はい、とても…緑の石が入ってますね」
木箱に入っていたのは、月の形をした飾りが付いている、華奢な金の首飾りだ。
そこには橄欖石と言われる、深緑の石が入っている。
勿論、その石にもきちんと意味があるのだ。
美依にこれを贈ろうと…
俺なりに必死に考え、行ってきた行動。
それを、どうしても解ってほしい。
「くりすますの話を聞いて、お前に贈り物をしようと決めて…色んな商人に掛け合ったり、お前の細い首に合うように、それを直してもらうなどしていてな」
「光秀さん……」
「お前に知られないように、秘密に動いていたから…逆にお前の不安を煽る結果になった。本当にすまなかったな」
「そうだったんですね……」
「どうしても、この首飾りでなければならなくてな。それは…こう言う意味だ」
木箱から首飾りを取り、前から腕を回して美依の首に付けてやる。
それは美依の細い首で輝き…
降る星達の光を浴びて、さらに煌めいた。
「お前の命、一生俺に預けてはくれないか」
「え……?」
「首は人間の急所だろう?そこを狙われたらひとたまりもない。だから、俺がそれをずっと守ってやる…そんな意味を込めた」
そのまま瞳を真っ直ぐに見つめ…
俺は最大級の求愛の言葉を吐く。
「────お前、俺の妻にならないか?」