第17章 【戦国Xmas】明智光秀編
「ふわぁ…高い……!」
御殿に到着し、はしごを使い庭から屋根に登ると、美依は怖々と声を上げ、身を竦めた。
俺は先に登り、上から美依の腕を掴んで引っ張り上げ…
そして気をつけて屋根を歩かせ、屋根のてっぺんの『棟』に座らせる。
美依と身体を寄せ合って座ると、美依が小さく身震いをしたので、俺はその華奢な肩を自分の方に引き寄せた。
「寒いか?」
「少し……」
「こうしていれば温かいだろう?多分すぐに始まるから、もう少し待っていろ」
「何が始まるんですか?」
「それは見てからのお楽しみだ。上を見てごらん」
俺が肩を抱く腕と逆の手で空を指差すと、美依は不思議そうに空を見上げた。
そして『空、澄んでますね』と呟く。
真冬の夜空は、濃紺の絨毯に煌めく星達が散りばめられているような、そんな幻想さを醸し出していた。
張り詰めたように、キンとする冷たい空気。
しかもとても静かで…
まるで世界には俺達二人しかいないような、そんな心地さえ覚える。
「あっ……!」
その時、美依が小さく声を上げて、空を指差した。
「今、流れ星が流れましたよ!」
「始まったか」
「えっ…ああっ!光秀さん、見てください!」
美依が興奮気味に叫ぶ。
俺も釣られて空を見上げれば…
空からは無数の星が、次々に流れ始めたのが解った。
きらきら、きらきらきら……
空が明るくなり、一点を中心に放射状に広がるように、無数の細い流れ星が、幾筋も輝き流れる。
まるで、本当に星が降ってくるような…
そんな幻想的な光景に、美依と二人で目を奪われた。
「すごいな、これは……」
「流星群だ…すごい綺麗……!」
「三成が教えてくれてな、今日は星が降る日だと」
「これを見せるために、連れてきてくださったんですか?」
「ああ」
美依の顔をこっそり伺えば、まるで子供のようにきらきらと瞳を輝かせ、降る星に魅入っている。
(……連れてきて良かったな)
こんな顔を見られたなら、誘った甲斐があったというものだ。
俺は美依の肩を抱く力を強め…
今日誘い出した『本題』を口にする。