第17章 【戦国Xmas】明智光秀編
────美依、教えてやろう
俺が、どれ程お前を大切に想っているか
何も欲しない俺が、たった一つ
唯一望んで、手にした光だから
それが失われないように…
大切に大切にこの手で守ってきた事
お前が、知らないとは言わせないからな?
今日はくりすます。
凍えるような寒く澄んだ空だから。
きっとそれは綺麗に輝くだろう。
お前の笑った顔が見れるなら…
幾らだって奇跡くらい起こしてやる。
*****
「光秀、さん……」
その日の夜更け、もう日を跨ぐという時間。
城の美依の部屋を尋ねると、美依は少し気まずそうに俺を出迎えてくれた。
何となく、しょんぼりしている気がする。
だが…それももう終わりだ、美依。
「めりーくりすます、だったか?」
「えっ…」
「お前に見せたいものがある…おいで」
「今から、ですか…?」
「ああ、外に行く。構わないだろう?」
「でも……」
美依が、言葉を濁して小さく俯く。
へそは大して曲げてはいないようだが…この前言い合いしたのを気にしているのか。
だが、そのような事は、すぐに気にならなくなる。
すぐに笑顔にしてやろう、美依。
俺はそう思い、首から自分の襟巻きを取ると、美依の首ににふわりと巻きつけた。
「風邪を引いたら大変だ」
「……っ」
「それを見ながら、お前に話さなければいけない事があるからな…聞きたくはないか?」
「……聞きたいです」
「なら、ついておいで」
そのまま美依の肩を抱き、ゆっくり歩きだす。
目的地は、俺の御殿の屋根の上だ。
多分そこが『あれ』を見るには一番良く見える。
城下もきっと『あれ』を見るために、人でごった返しているだろう。
そんな中ではゆっくり話も出来ないし…
美依には、俺の話をきちんと聞いてもらわねばならないから。
俺が密かに用意していた事。
それはお前を泣かせるのではなく…
とびきり眩しい笑顔に、きっとするから。