第14章 【現代パロディXmas】石田三成編《後編》
「私も、先輩の事…大好きです」
すると、先輩は目を輝かせ。
ふっと笑って『知ってます』と答えた。
クリスマス、深夜のオフィス
そこで秘密に花開いた、鮮やかな蜜事
それは銀世界に一点
色を付けて、色濃い空気に変えた
だいすき
だいすきです、先輩
どんな姿の貴方も
私を惹き付けて離さないから
そして、私達は初めてキスを交わした。
順番が逆ですねと苦笑した先輩は…
なんだか子どもみたいに無邪気に見えた。
*****
その後、私は先輩の車に乗せられ、送ってもらうことになった。
助手席に座る私の横で、先輩がハンドルを握る。
『そんなあられもない姿で、
タクシーなんて乗せられませんよ』
そう、優しく笑った先輩。
そうなったのは貴方のせいですよ、と。
そう言ったら、先輩は困ったように笑った。
「じゃあ、先輩は私の気持ちに前々から気づいていたんですね」
「はい。貴女は態度に出やすいし…そうじゃなきゃ、こんな事したりしませんよ。強姦になってしまいます」
「……強姦まがいですよ、すでに」
「あはは、でも貴女が拒まないのも解っていましたから」
イルミネーション灯る街道を走りながら、先輩が愉快げに言葉を紡ぐ。
そんな先輩を見て、私は顔を赤くして俯いた。
ああ、本当に敵わないな。
何もかもお見通しだったんだ、先輩には。
きっと、私が無理して残業する事も。
それが解ってて、あんな風にしたんだ。
────気持ちイイですか、美依…?
(だ、だめだ、思い出すな、私っ…)
さっきのオフィスでの事が蘇る。
先輩の長い指や、甘い声や…
受け入れた熱量が、鮮明に記憶されて。
思い出すだけでも、顔から火を吹きそうだ。
ちらっと先輩の横顔を盗み見る。
先輩は全然普通で、いつも通り穏やかで。
あんなふうに意地悪に私を攻め立てた妖艶な姿が、まるで嘘のようだ。
(変に気にして意識してるの、私だけかな)
そんな事を思いながら、また視線を前に戻す。
その時、私は『ある事』に気がついて…
少し焦って、隣の先輩に言葉をかけた。