第14章 【現代パロディXmas】石田三成編《後編》
「先輩、私のアパート、こっちじゃないです」
「はい、そうですね。さっき教えて頂いた道とは、別の道ですよ」
「え、帰れないじゃないですか。資料も作らないと」
「誰が貴女のアパートに送ると言いました?」
「へ?!」
すると、先輩は道の脇に車を止めた。
そして、私の方を向いて、ニコリと艶っぽい笑みを浮かべ…
さらりと、当然のように言葉を紡いだ。
「私のマンションへ行きますよ、美依。資料作りは私がやりますから」
「え……?」
「あんな場所で終わらせる気は、さらさらありません。今度は温かなベッドで…たっぷり愛して差し上げます」
「……っ」
「覚悟、してくださいね?」
伸びてきた手が、私の頬を捕え…
そして、艶やかに告げる。
甘い蜜夜の再来を──……
「あんなものじゃ、貴女を愛し足りない。
私の愛を知って欲しいから……
だから、たくさん感じてくださいね?
貴女は、私の事、好きでしょう?
まだ……
聖夜は始まったばかりなのだから、ね」
────鮮やかな時間は、終わらない
貴方に魅せられ、囚われて
堕ちていく蜜夜はこれからだ
私はきっと、また貴方に翻弄されて
淫らに乱れて、甘い啼き声を上げて
菫色の堕天使から、寵愛を受けるのだ
その証拠として…
紫水晶のような瞳は熱に揺れている
もう、逃げられない、貴方から──……
今日は銀世界が支配するクリスマス
でも私を支配するのは……
巧みな指先と、甘く囁く唇と
熱を孕んだ、菫色の双眼
抱き締めて離さないで
愛しい貴方、真珠の雪が溶けるまで
イケメン戦国現代パロディXmas編
第二話、石田三成〖後編〗
終