第14章 【現代パロディXmas】石田三成編《後編》
息を荒らげて必死に整えていると、上半身が起こされ、中から昂りが引き抜かれる。
そのままカタンと音がして…
私はイスのようなものに座らされた。
そこで、しゅるりとネクタイを外され。
久しぶりに見る世界に目をやれば…
先輩は私を、自分の膝に後ろ向きして乗せて、そのままイスに座っていた。
背後から私をぎゅっと抱き締め…
その紫の瞳は、熱を孕んでいるように見えて。
初めて見る先輩の『男の顔』に、思わず心臓が高鳴った。
「くすっ…目、真っ赤ですよ、美依」
「せ、先輩……」
「なんですか?」
「これは、ただのプレゼントですか…?」
私が先輩の目を見ながら、真摯に問うと。
先輩はくすっと笑い、優しく目を細めた。
「つい、意地悪したくなってしまいました。
────愛しすぎる、貴女に」
(え……?)
その言葉に瞳を丸くする。
愛しすぎる貴女にって…どういう意味?
すると、先輩は優しく私の汗ばんだ頬に手を這わせ、いつも通りの穏やかな口調で言った。
「貴女が好きです。どうしようもないくらい」
「先、輩……」
「だから、手を出さずに居られなかった。ごめんなさい、ストッキングまで破いてしまいましたね。でも…本気です」
「……っ」
「貴女が、本当に大好きですよ、美依」
先輩の言葉が染み入る。
胸がいっぱいになって…呼吸を忘れそうだ。
────どの先輩が本物なの?
私に優しく接してくれる、爽やかな先輩。
言葉で攻めて、無理矢理身体をを奪った、狡猾な先輩。
そして……
私を好きだと囁く、今の先輩。
(でも…どんな姿でも、先輩は先輩だ)
どんな姿だっていい。
だって、先輩が大好きだから。
こんな風に気持ちをぶつけてくるなんて…
先輩は案外不器用なのかもしれないね。
『好きな子ほどいじめたい』かな?
私の片想いじゃなかった。
憧れの先輩と思い合えるなんて…
それこそクリスマスの贈り物だよ。
「美依?」
私は身体を捻り、先輩に抱きついた。
そして、しっかり自分の目で見つめ…
先輩に自分の気持ちを赤裸々に伝える。