第12章 【現代パロディXmas】伊達政宗編《後編》
『美依、クリスマスに何が欲しいんだ?』
毎年私の元にやってくるサンタさんは
白いヒゲを携えてる訳じゃなく
いつも不敵な蒼い目をしていた
山ほどのプレゼントはないけど
私に温もりを届けてくれた
私のサンタさんは、いつもいつも
とびきりの幸せをくれたの──……
「ぁっあっ…まさ、むねぇっ……!」
「も…出る、美依っ………!」
今年のクリスマスは雪景色。
そこに鮮やかに浮かび上がったのは…
私達の、禁じられた恋。
神様には見放されたかもね?
それでも…いいよ。
貴方が居れば、何も要らない。
────ねぇ、政宗?
マンションの一室から響く、甘く濡れた声は、止むことはなかった。
淡く儚い二人の想いは…
雪のように世界を染め上げ、優しく優しく降り積もっていった。
*****
小さく小さく、歌が聞こえる。
いつだか聞いた、クリスマスソング。
甘く優しいその歌声は──……
どこか懐かしく、少し切なく
ああ、あのクリスマスとは違うのだと
それを、暗示するようで
なんだか少しだけ、心が軋んだ
「ん……?」
「起きたか、美依」
ふわりと意識を浮上させると、身体が温もりに包まれている事に気がついた。
そして、額にも。
温かく柔らかいものが落ちてきて…
二、三回瞬きをして見上げれば、愛しげに見下ろす蒼い瞳と、視線が絡んだ。
「まさ、むね……」
「お兄ちゃんって言わなかったな、偉い偉い」
「抱き締めていてくれたの……?」
「だってお前あったかいし、気持ちいいから」
「今、歌ってた……?」
「ああ、少しだけな」
そう言って政宗は、まるであやすように私の背中を撫でながら…
また小さな声で、歌を口ずさんだ。
優しいクリスマスソング。
甘く響くそのメロディーは、心に染み入る半面で、私に切なさを運んでくる。
────もう、あの頃には戻れない
恋を知らず、ただ兄貴を慕ってたあの頃には
それを実感し、思わず裸の胸に顔を埋めると、政宗は歌うのを止め、不思議そうに私に問いかけた。