第12章 【現代パロディXmas】伊達政宗編《後編》
「ひっく、ううっ…ひっく……」
私が抵抗を止め、腕で顔を覆って泣きじゃくり始めると……
兄貴は、制服を暴く手を止めた。
それでもはだけた胸元や、めくり上がったスカートから覗く肌は、外気に触れて敏感になって。
じわじわと熱を帯びて、少し触れられるだけで、おかしくなってしまいそうだった。
「美依……」
「ひど、ひどいよ…私が、拒めないって、解ってるくせに……!」
「……でも、逃げようと思えば逃げられただろ、あの日も、今日も。俺、そんなに力掛けてないからな」
「ひっく、ひっく……」
「逃げればいいだろ、嫌なら」
「……っっ」
政宗兄貴の手が私の腕に触れ、ゆっくり腕を開かれる。
そうして見えた、兄貴の顔は…
どこか苦しそうに、切なさそうに。
でも瞳は熱を宿して、煌めいていた。
(なんで、そんな顔するの……?)
そのまま、瞼や頬にキスが降ってくる。
それは優しく、温かく…
今までの荒々しい行為とは真逆。
まるで……
私を愛おしむかのような、触れ方。
なんで、そんな風に触れるの?
私を、どう思ってるの?
ねぇ、兄貴────…………
「美依、俺は……」
すると、一回唇を軽く啄み。
兄貴はゆっくり顔を上げた。
その蒼い目は、光を孕んだ硝子玉みたいに、きらりと輝いて…
泣いている私の姿を、くっきりと中に映している。
「駄目だって、自制してた時もあるんだ…お前の事」
「え……?」
「戸籍上は完璧に血が繫がってるし、実の妹だし…こんな感情間違ってるって」
「どーゆー…意味……?」
「どーゆー意味も、そのままの意味だ。でも……」
兄貴の骨張った手が、優しく頬に触れた。
涙の痕を拭うように、指が頬を滑って…
そして、穏やかに兄貴が笑う。
「気持ちは切れなかった。何人女を変えても…付き纏う感情は同じ。俺の気持ちは、守りたいものは…はなから何一つ変わっちゃいない」
「……」
「────美依」
それは、一番聞きたかった言葉。
兄貴の……心の声。
「嫌なら拒め、逃げていい。でも、嫌じゃないなら…選べ、俺を。お前の兄貴は、お前を女として、誰よりも愛してる───………」