第12章 【現代パロディXmas】伊達政宗編《後編》
「俺は帰る、政宗と仲良くやれ」
「光秀さん……」
「美依、お前はどう思うか知らんが…政宗は間違いなく、一番お前を見ていたよ」
「……」
「俺が言うのもなんだが、本気なら素直になれ、お互い」
メリークリスマス、美依
お前を幸せにしてくれるサンタは、
きちんと見極めろよ────……?
そう言い残し、光秀さんは優しく笑って帰って行った。
本気なら、素直になれ。
幸せにしてくれるサンタを見極めろ。
その言葉は私の心に、深く突き刺さった。
(……私、兄貴と向き合ってないな)
いつも流されて、肝心な所聞けなくて。
一人で悶々と悩んでるだけで、何もしていなくて…
『あの日』のことだって。
どういうつもりだったのか、何も聞けてない。
だから、これはチャンスだ。
きちんと向き合おう
たとえ拒絶されたって……
私は意を決し、兄貴の居るベランダに足を向けた。
怖い、本当はすごく。
でも……
全てに向き合う時が来たんだと。
私はそう思った。
「兄貴……」
ベランダの戸を開け、声をかける。
兄貴は振り返ることすらしてくれなかったが、私は隣に立って表情を盗み見た。
兄貴はどこかぼんやりしていて、何か考えているように見える。
煙草も…火をつけただけって感じで。
ただ指の中で、燻っては灰がベランダに落ちていた。
「あに…」
「美依」
再度声をかけると、それを兄貴は遮った。
そして、胸ポケットから携帯灰皿を出し、煙草の火を消しながら呟くように言った。
「お前、光秀が好きなのか?」
いつもの自信たっぷりな政宗兄貴からは考えられないくらい、弱々しい声。
でも、向き合うって決めてたから。
私はベランダの柵を掴み、少し俯きながら、素直に答えた。
「うん……」
「……そうか」
「光秀さんを居ると、ドキドキするの」
「……」
「────でもね」
ぎゅっと柵を握りしめ…
私は今まで抱えていた心の内を、曝け出す。