第11章 【現代パロディXmas】伊達政宗編《前編》
「……なかなかにいい顔だ、美依」
「……っっ」
「子供だと思っていたが…その顔は結構そそられる。欲しがっているような、そんな艶っぽい顔だぞ」
色香を帯びた声と、押し倒されたという事実に、さらに心臓が早鐘を打っていく。
押さえつけられた身体。
大きな手は、徐々に私の手を絡め取って。
その先を不意に想像し、呼吸が浅くなった。
光秀さんが、私を大人にする。
この人の手の中で……
────ワタシハ、ハナヒラクノ?
ドキドキが止まらない。
と、光秀さんの顔がゆっくり近づいてきて。
私は、自然に目を閉じた。
これからもたらされる、大人の時間。
こんな風に、愛されるのは。
は、じ、め、て……?
『────…………美依』
その刹那
私の脳裏に、あの青い瞳が映った
そして、走馬灯のようによぎる…
『あの日』の、蜜な記憶。
『可愛い、美依っ…はぁっ……』
『やっ…お兄、ちゃっ……!』
『堪んねぇ、美依っ、美依っ……』
────違う
こんなふわふわしたドキドキじゃない
もっと切なくて、締めつけられて
もっと、激しい
激流みたいな、想い
コ ノ ヒ ト ハ チ ガ ウ
「……っ待って!」
私は自分でも解らないまま、光秀さんの肩を押し返していた。
光秀さんは慌てる様子もなく止まって。
私を穏やかな目で見降ろしていた。
「その、私……」
「……」
「そのっ……」
何を言えばいいか解らない。
言葉が出てこない。
なんで『待って』って、口からで出たの?
せっかく憧れの光秀さんといい感じになって、愛してもらえそうなのに……
拒んだ自分が解らず、混乱していると。
「美依、光秀……?」
突然、明後日の方角から、聞き慣れた声がした。