第11章 【現代パロディXmas】伊達政宗編《前編》
「政宗なら、酒が足らなくなって買いに行ったぞ」
「あ、そうなんですね」
「じゃんけんに負けたからな」
「あ、あはは……」
「ん?美依、どうした?」
すると、光秀さんがおもむろに私の顔を覗き込んだ。
そして、どこか不思議そうに…
瞳を細め、私の顔を凝視する。
「随分女っぽい顔をしているな」
「へ?!」
「さっき政宗がお前を追いかけて、皿を取りに行ったな。何かあったのか?」
(うっ……光秀さんするどい)
その何もかもを見透かしているような目は、まるで丸裸にされている気分になる。
言えないよ、キスされたなんて。
こんな兄妹で、変だと思われちゃう。
私が口ごもって何も言えないでいると…
光秀さんはさっきみたいに、手で私の頬に触れてきた。
それにびっくりして、俯いていた顔を思わず上げる。
さすれば、光秀さんの視線と絡んで。
私は何かに縛られたみたいに、動けなくなってしまった。
「美依、先程の答えを聞かせてくれ」
すると、光秀さんは私を真っ直ぐに見据えながら、なんだか色っぽい声色で言った。
「先程の答え?」
「俺の女にしてやってもいい、という話だ」
「あ、あれは私をからかって…!」
「政宗にも言ったが、割と本気だぞ」
「え……」
「俺の女になるか、美依?」
誘う甘い響きに、カッと顔が熱くなる。
そして、また鼓動が駆け足で動き始めた。
光秀さんの、彼女になれるの……?
そう思うだけで心が湧き立ち、どんどん気持ちが高ぶっていく。
こんな素敵な男の人の彼女になれたら…
そんな幸せなことってない。
(光秀さん、私のことを……?)
それを考えると、頭が沸騰しそうだ。
甘い言葉に、その誘惑に。
────流されても、いいんじゃない…?
「私、は……」
言葉を詰まらせながら、光秀さんを見つめる。
すると、光秀さんは不意に口角を上げ。
その、直後。
────トサッ……
私はソファに押し倒され。
下から、琥珀色の意地悪な目を見上げていた。