第11章 【現代パロディXmas】伊達政宗編《前編》
「あ……」
ちゅっ…
やがて、数回食まれては離れていった唇。
つーっと間には透明の糸が引き…
私は突然のことに思考もついていかないまま、息を荒げて政宗兄貴を見た。
兄貴は私の顔をじっと見て。
ふっと優しく笑うと、また頬を指の背で撫でる。
「顔、直ってから戻って来いよ?」
「……っ」
「蕩けて、可愛くなってるから」
そして、仕上げとばかりに頬にキスをし、私の手からお皿を取ると立ち上がった。
私はそれを呆然の見るしかなく。
兄貴が去っていく後姿を、ただひたすら見つめ…
姿が見えなくなった途端、へたり込んでしまった。
(な、ななな、何だったの、今の……!)
抗う事も出来なかった。
いきなりの強引なキスに、逃げる事も出来ずに、また流された。
しかも…
また『あの日』みたいになるんじゃないかと。
────……心のどこかで、
期待した自分がいた
「……っばか、わたし、ばか……!」
こぶしで自分の頭をぽかぽか叩く。
馬鹿な考えをした自分に。
呆れて、もう物が言えなかった。
ほんと、何考えてるの、私。
相手は兄貴なのに、お兄ちゃんなのに。
どうして拒めないの?
あの唇に、眼差しに、手に。
囚われて、抗えない自分がいる。
なんであんな事するの?
どうしてキスするの?
どうしてあんなに優しく触れるの?
わかんない
わかんないよ
兄貴が解らない
自分が、解らない────…………
いくら疑問を投げかけても、答えなんて返っては来なかった。
ただただ身体が熱くて…
触れられた唇が、熱を持って痺れていた。
*****
「あれ、兄貴は……?」
しばらくして、キッチンから部屋に戻ってみると、兄貴の姿は無く…
光秀さんが一人、ソファに腰かけお酒を飲んでいた。
私に気が付いた光秀さんは、隣に座れと言うように、ぽんぽんとソファを叩く。
私がそのまま移動して隣に座ると…
光秀さんはいつものように腹の見えない笑みをして、言葉を紡いだ。