第11章 【現代パロディXmas】伊達政宗編《前編》
「お前は本当に可愛いな、美依」
「あ、ありがとうございます……」
「お前なら、俺の女にしてやってもいいぞ」
「へ?!」
「その制服姿も、なかなかにそそるしな。まだセーラー服を着ているような初心な女に、男を覚えさせるのも悪くない」
(なっ、なななななっ……!)
頬を指で撫でられながら、何やら色っぽい事を言われてしまい、私はますます赤面した。
光秀さんの、低く甘い声色。
そして、全て見抜くような、琥珀の瞳。
その大人の男の色香を放ったような姿は……
まだ子供の私を『大人の女』にしてくれるような。
そんな危うい魅力を放っていて、知らない内に惹き込まれそうになってしまう。
「か、からかわないでくださいっ……!」
私は耐えきれずに、光秀さんの手を振り切るように立ち上がった。
政宗兄貴にも、光秀さんにも。
今この場にいたら、変なことを口走ってしまいそう。
「わ、私ケーキを取り分けるお皿取ってきますね!お二人はごゆっくり……!」
「おい、美依……」
兄貴が名前を呼んだ気がした。
でもそれを無視し、その場から逃げだすように、私はキッチンへと小走りで向かう。
ドキドキの意味は違う。
でも、ドキドキする。
二人に……ドキドキする。
私、やっぱりなんか変だ──……!
美依がバタバタと走り去り。
その様子を見ていた政宗は、ぷっと吹き出して光秀に呆れたように言った。
「あんまり俺の妹をからかうな、光秀。免疫ないんだから、可哀想だろ?」
「うーん…それもそうだな」
すると、光秀も妖しげに笑い。
またコップに酒を注いで、くいっと煽る。
だが──……
その酒を飲み終わると、光秀は挑発的な瞳で政宗を見据え。
まるで、煽るように。
政宗に向けて、真摯とも冗談とも取れる言葉を放つ。
「────割と本気なんだがな、俺は」
その時、政宗の蒼い目が揺れた。
それを、見逃すはずのない光秀は……
また意地悪く、その黄金の瞳を細めるのだった。
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