第11章 【現代パロディXmas】伊達政宗編《前編》
「しまった、青になっちまった…残念」
兄貴は何事も無かったかのように身体を離し、また運転に戻る。
私はと言うと、突然の事に頭はパニック寸前で。
真っ赤になりながら、唇を噛み締めるしかなかった。
(ま、またやられた……!)
そう思いながら、うるさい心臓を押さえる。
それは、なかなか収まってはくれずに……
いつまでも残る兄貴の唇の感触が、いつまでも私の心を締め付けていた。
キスしたり、頬を撫でたり。
どうして、兄貴はそーゆー事出来るのかな。
元々強引でスキンシップの激しい兄貴。
でも普通に考えれば、それは彼女にする事で。
なのに、妹の私に平気でするから。
それは、過剰なスキンシップの一部なのか。
私が慌てても、兄貴は余裕で。
ちっとも動揺なんてしていない。
気にしてるのは…私だけ?
ドキドキするのは、
私だけ────………?
その行動に振り回されて。
私一人で気にして、恥ずかしくなって。
そう、『あの日』の事も。
結局うやむやで、答えを聞いていない。
兄貴はどーゆーつもりで、
私に『あんな事』をしたのか。
『ぁっ…やぁっ、あに、きぃ……!』
私はただ流されただけなのか。
あんな風に…兄貴にされて。
解んない、
解んないよ。
こんな、こんな気持ち。
兄貴にドキドキする、こんな気持ちは。
『妹』が抱く感情からは、
遠くかけ離れているような気がした。
*****
「おかえり、待っていたぞ、美依」
兄貴と一緒に住んでいる、マンションの一部屋。
私が玄関を開けようとすると、先に鍵が開いて、扉が開かれ…
そこから、ひょっこり白銀色の髪の人物が顔を覗かせた。
「光秀さん?!なんで…?!」
「政宗に呼ばれてな、クリスマスパーティをやるんだろう?部屋の鍵を預かって、先に準備していた」
「光秀さんも一緒にクリスマスパーティ?!」
「ああ」
光秀さんの言葉に、私は思わず頬が緩んだ。
まさか、光秀さんとイヴを過ごせるなんて!
さっきまでの悶々とした思いはどこへやら。
私はすっかり気分が良くなり、ニヤける口元を抑えられなかった。