第10章 【童話パロディ】シンデレラ《後編》/ 豊臣秀吉
「ぁあっ…だめぇっぁあ──……っっ!!」
「……っ、美依っ…んぁぁっ……っっ!!」
注がれる白濁の想いは、赤裸々に。
二人愛し合った証として、美依の躰に根付くようにと……
儚い想いを描きながら、蕩け合う一夜は過ぎていった。
『愛してる』と際限なく囁いて、
濡れる一夜は、華開いて煌めいたのだった。
*****
(あれ……?)
私が目を覚ますと、部屋はまだ真っ暗だった。
どうやら、まだ夜は明けていないらしい。
カーテンの隙間から見える空が、まだ濃紺色をしていた。
頭がぼんやりして、上手く働かない。
身体も気だるくて、熱くて……
「ん……」
その時、耳に掠れた甘い声が響いた。
背中から包む温もりは、大きくて優しくて…
私の肩に埋もれる頭は、小さく寝息を立てている。
(そうだ、昨日秀吉さんと……)
その時、昨夜の事が一気に思い出された。
秀吉さんに、蕩けるほどに愛されて、私は何度も声を上げて……
それを思い出したら、一気に気恥しくなった。
あんな風に愛されたことは無かったから。
思わず両手で顔を覆い、赤面した顔を必死に隠そうとしていたのだけど……
「────何やってんだ、美依?」
「……っ!」
にゅっと手が伸びてきて、手首を捕まれた。
首だけ振り返れば、優しげな薄茶の瞳と視線が絡む。
秀吉さんは、変わらずの余裕のある表情で……
ふっと笑い、そのままの体制で言葉を紡いだ。
「お目覚めはいかがですか、お姫様?」
「さ、さささ、最高です……」
「なーに今さら照れてるんだ、美依」
「だ、だって、恥ずかしいよ……!」
余裕のある秀吉さんとは裏腹、私は赤面したままで、小さく俯いて。
その顔も隠せないまま、ぽつりと呟く。
「お、王子様とこんな風になると思わなかったし…私は普通じゃいられないよ」
「……美依」
「な、なに……?」
「ちょっと、こっち向け」
秀吉さんが言ったのと同時に、くるっと後ろに振り向かされて。
真正面で向き合うと、秀吉さんは私の瞳を覗きながら……
額に、優しく口づけた。