第8章 【Twitter企画】淡紅姫-泡沫に燃ゆる-/ 豊臣秀吉
「……身体はもう、大丈夫か?」
「う、うん…平気、だよっ……」
「熱かったり、疼いたりしないか……?」
「ももも、もう大丈夫、みたいっ…ごめん、そのっ、昨日は……!」
どうやら、本当に媚薬の効果は無くなったらしい。
それに…意識は飛ばしたが、昨夜のことも、きちんと覚えているようだ。
つまり──……
兄貴の俺に、獣のように犯された事を。
(だから……こっちを向かないのか?)
その背中が拒絶しているように見える。
腕から逃げたのも、顔を合わせないのも……
俺に失望したからなのか、そうなのか?
────俺は、もう、お前に嫌われたのか……?
「……っっ」
俺が髪を梳いていた手で、そのまま小さな身体を掻き抱くと、美依は息を詰めて身体を震わせた。
肌はまだ、淡く温もりを帯びたまま。
昨夜散々奪ったその身体は、白い肌の内側が酷く傷ついているような、そんな気がした。
そして、傷つけたのは……この俺だ。
「……ごめん、美依」
「え……?」
「媚薬で苦しむお前を癒すつもりで、傷つけた。男の本能のままに…めちゃくちゃに抱いた。お前が泣いてるのに、止めてやれなかった」
「そ、それは……!」
「いいから、黙って聞け」
美依の肩に顔を埋め、ふっと息を吐き出す。
こんな風に晒すくらいなら、初めから素直に伝えていれば良かったのだ。
見栄を張って、格好悪いからとか。
優しい俺を、崩すわけにはいかないからとか。
そんな建前こそがみっともない事に、何故気づけなかったのだろう。
こんなにも美依が好きで。
好きで好きで仕方がない、この気持ちは。
────何よりも俺らしく、素直な想いであったのに
「俺……ずっとお前とこうなりたかった」
「……っっ」
「自分の頭で思い描くだけじゃなく、現実のお前を甘やかして、ぐずぐずに蕩かして……全て俺のものにしたかった。俺は兄貴じゃなくて、お前は妹じゃないから……お前に俺を見て欲しかった、一人の男としての俺を」
赤裸々な想いが、溢れる。
さらさらと、止めどなく。
俺……ずっとずっと、言いたかったんだ。
この一言を。
「お前のこと、すごい好きだ──……」